今回の研究成果をもとに描かれた土星内部の模式図。岩・氷・流体の水素とヘリウムでできた巨大で拡散したコアを水素とヘリウムのガスが覆っている(Credit: Caltech/R. Hurt (IPAC))

【▲ 今回の研究成果をもとに描かれた土星内部の模式図。岩・氷・流体の水素とヘリウムでできた巨大で拡散したコアを水素とヘリウムのガスが覆っている(Credit: Caltech/R. Hurt (IPAC))】

カリフォルニア工科大学のChristopher Mankovich氏Jim Fuller氏は、土星の内部に密度の高い岩石質のコア(核)は存在せず、かわりに岩・氷・流体の水素とヘリウムが混ざり合った巨大で拡散したコアが存在する可能性を示した研究成果を発表しました。Mankovich氏が「泥のようなものです」と表現するコアのサイズは従来の予想よりもずっと大きく、土星の直径の約60パーセントに達するとみられています。

■土星の内部構造を知るために土星の環を「地震計」として利用

惑星は若い星を取り囲むガスや塵の円盤(原始惑星系円盤)で形成されると考えられています。現在の惑星形成モデルでは、地球10個分程度の質量まで成長した岩石質の原始惑星が周囲のガスを暴走的にかき集めることで、木星や土星のような巨大ガス惑星が誕生したとされています。「コア集積モデル」と呼ばれるこのシナリオにもとづき、水素やヘリウムの大気をまとう巨大ガス惑星の内部には岩石質の固いコアが存在すると予想されていました。

両氏は今回、2017年9月にミッションを終えた土星探査機「カッシーニ」による観測データをもとに、土星の環を「地震計」に見立てて土星内部の構造を分析しました。Mankovich氏によると、土星の表面は内部の振動によって1~2時間周期で1mほど上下に変動しているといいます。直径が地球の約10倍もある土星全体からすればわずかな変化ですが、土星の振動が重力場の変動をもたらすことで、土星の環の一部「C環」には渦巻き状の波紋が生じます。この波紋を利用して、両氏は土星内部の構造に迫りました。

分析の結果は、土星のコアが従来の予想とは異なり、中心へ向かうにつれて岩と氷の割合が徐々に増えていく不明瞭なものであることを示していました。コア全体の質量は地球の約55倍で、その3割ほど(約17地球質量)が岩と氷、残りは流体の水素とヘリウムが占めているとみられています。

▲カリフォルニア工科大学が公開している今回の研究成果を解説した動画(英語)▲
(Credit: Caltech)

■拡散したコアの相次ぐ発見、理論に課題もたらすか

最近では木星探査機「ジュノー」による重力場の観測によって、木星も希釈された低密度のコアを持つことが判明しています。発表によると、実際に木星や土星が巨大な拡散したコアを持っていた場合、惑星形成過程の早い段階で大量のガスを獲得していた可能性があるといいます。明らかになってきた木星と土星の内部構造は、現在の惑星形成モデルに課題をもたらすことになりそうです。

関連:木星のコアは誕生直後に破壊され、今もその影響が続いている可能性が浮上

 

Image Credit: Caltech/R. Hurt (IPAC)
Source: Caltech
文/松村武宏

 オススメ関連記事