地球外の工業文明と大気汚染の様子を描いたイメージ図(Credit: NASA/Jay Freidlander)

地球外の工業文明と大気汚染の様子を描いたイメージ図(Credit: NASA/Jay Freidlander)

アメリカ航空宇宙局(NASA)ゴダード宇宙飛行センターのRavi Kopparapu氏らの研究グループは、地球外知的生命体の存在を示すテクノシグネチャー(技術的な兆候)として二酸化窒素(NO2の利用を検討した研究成果を発表しました。

太陽以外の恒星を公転する太陽系外惑星はすでに4000個以上が見つかっています。その一部は生命の存在が可能なハビタブルゾーンを周回しているとみられており、どこかで生命体が誕生していたり、場合によっては文明が栄えていたりする可能性もあります。今の人類には系外惑星を直接探査することは不可能ですが、可視光や赤外線、電波などを使って観測することで、生命や文明の兆候をキャッチできるかもしれません。

関連:恒星の種類によるハビタブルゾーンの違いを解説した図表

二酸化窒素は自然界でも生成される物質ですが、自動車や工場、発電所などから排出される大気汚染物質の一つであり、大気中の二酸化窒素は地球観測衛星などによってモニタリングされています。Kopparapu氏は、地球の低層大気に存在する二酸化窒素は人間が排出したものが多数を占めており、系外惑星において二酸化窒素が検出されれば、地球外知的生命体の工業文明が存在することを示す可能性があると指摘します。

そこで研究グループはコンピューターモデリングを使い、現在NASAで検討されている宇宙望遠鏡「LUVOIR(※)」のような将来の観測手段で系外惑星の大気中に存在する二酸化窒素が検出できるかを調べました。二酸化窒素は光の一部を吸収するため、分光観測(電磁波の特徴を波長ごとに分けて捉える観測手法)を行うことで系外惑星の大気中に含まれているかどうかを知ることができます。

※…Large UV Optical Infrared telescope、大型紫外線光学赤外線望遠鏡。2030年代の打ち上げが提案されており、SLSを使って打ち上げる口径15mと、既存のロケット(フェアリングの直径5m)で打ち上げ可能な口径8mの2案が検討されている。

分析の結果、太陽に似た恒星を周回する地球のような惑星において人類と同程度の二酸化窒素を排出する文明の場合、およそ30光年以内であれば約400時間の観測で検出できる可能性が示されたといいます。太陽よりも軽くて低温なM型星(赤色矮星)やK型星を周回する惑星の場合は大気中の二酸化窒素が分解されにくく、より検出しやすいこともわかったとされています。ただし、大気中のエアロゾルも二酸化窒素と同様の特徴を示すことから、研究グループでは二酸化窒素と雲を区別するために雲量の自然な変化を利用したコンピューターモデルの改良を計画しています。

また、前述のように二酸化窒素は自然界でも生成されるため、仮に系外惑星の大気から二酸化窒素が検出されたとしても、それが必ずしも文明の存在を意味するとは限りません。研究に参加したゴダード宇宙飛行センターのGiada Arney氏は、文明活動以外で生み出される二酸化窒素の推定量を考慮した慎重な判断が必要とした上で、「それでも地球外生命体の探索においては誤検知の可能性が常にあります」と見極めの難しさに言及しています。

検討中の宇宙望遠鏡「LUVOIR」の想像図(Credit: NASA/GSFC)

 

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Image Credit: NASA/Jay Freidlander
Source: NASA / GSFC
文/松村武宏

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