恒星で生じたフレアを描いた想像図(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center/S. Wiessinger)

ノースウェスタン大学のHoward Chen氏らの研究グループは、恒星のフレアが太陽系外惑星の大気に及ぼす影響を分析した研究成果を発表しました。研究グループによると、系外惑星に存在するかもしれない生命の兆候が、恒星で起きるフレアの影響によって検出しやすくなる可能性があるようです。

■フレアにさらされる惑星でも大気中にオゾンが残るケースがある

すでに4000個以上が見つかっている系外惑星のなかには、サイズや組成が地球に似た岩石質とみられる惑星も見つかっています。その多くは太陽(G型星)よりも小さく宇宙では一般的な恒星であるM型星(赤色矮星)やK型星の周囲を公転しています。

M型星やK型星では太陽よりもフレアの活動が盛んです。そのため、表面の水が凍ることも蒸発することもないハビタブルゾーンを系外惑星が周回していたとしても、恒星の活動が大気に致命的な影響を及ぼすことで、系外惑星における生命の居住可能性が減少するのではないかとする研究成果がこれまでにも幾つか発表されています。

関連:古い赤色矮星を周回する系外惑星も生命にとって過酷な環境の可能性

ハビタブルゾーン(ゴルディロックスゾーン)の恒星種類別比較図表

左からハビタブルゾーンのサイズ、X線の放射照度、相対的な星の数、星の寿命を示した図。恒星は上からM型星、K型星、G型星の順(Credit: NASA ESA, Z. Levy (STScI))

今回の論文の上席著者であるノースウェスタン大学のDaniel Horton氏も「M型星やK型星ではハビタブルゾーンが太陽よりも小さくて狭く、太陽よりも頻繁にフレアが生じています。潮汐力によって自転と公転の周期が一致(潮汐固定または潮汐ロック)している惑星では、恒星風を防ぐ磁場が存在する可能性も低いでしょう」と語ります。

Chen氏らは今回、大気化学と気候の3Dモデルを利用して、M型星やK型星を周回する系外惑星の大気のシミュレーションを行いました。頻繁にフレアの影響を受ける惑星とフレアの影響を受けない惑星の大気化学を分析した結果、継続的なフレアにさらされる惑星の大気組成は異なる化学平衡状態になることが実際に示されたといいます。

ただし、フレアの影響下でも生命は存続できるかもしれません。Horton氏によると、幾つかのケースではフレアが大気中のオゾンすべてを破壊するには至らず、「地表の生命にもまだチャンスがあるかもしれない」(Horton氏)といいます。オゾンは有害な紫外線の一部が地表に到達するのを防ぐ役割を果たす、生命にとって重要な物質です。

■フレアが生命活動に由来するガスを検出しやすくする可能性

また、研究グループによると、系外惑星の大気に含まれる二酸化窒素亜酸化窒素硝酸といった生命の兆候を示す微量なガスが、フレアの影響によって検出可能なレベルまで増える可能性があるといいます。

Chen氏は「フレアなどの宇宙天気現象は生命の居住可能性を損なうものとされてきましたが、私たちの研究では、生物学的プロセスの存在を意味するかもしれない重要なガスを検出する上でフレアが助けになる可能性を定量的に示すことができました」とコメントしています。

なお、2021年10月打ち上げ予定の宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」系外惑星の大気組成を調べることが目的の一つとなっており、フレアによって検出しやすくなったこれらのガスを発見できるかもしれません。

 

Image Credit: NASA's Goddard Space Flight Center/S. Wiessinger
Source: ノースウェスタン大学
文/松村武宏

 オススメ関連記事