米国カーネギー研究所などの研究チームは「すばる望遠鏡」に搭載された超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam」を用いて、太陽系で観測された中で最も遠い天体を発見しました。
その天体は「Farout(ファーアウト)」の愛称が付けられ、国際天文学連合では「2018 VG18」と命名されました。研究結果によると「Farout」は、太陽から地球までの距離の100倍以上離れた場所に存在しています。表面は、氷の存在を意味するピンク色で、直径約500kmの準惑星であることが分かっています。
距離を比較しやすく天文単位(au)で現すと、太陽から地球までを1au。太陽から冥王星までが34auで、もっと遠い準惑星エリスは96auです。「Farout」は更に遠くの120auに位置しています。
120auという距離は、NASAの無人宇宙探査機「ボイジャー1/2号」が太陽圏の境界面であるヘリオスポーズ(ボイジャー1号は121au、2号は119au)を通過し星間空間に突入したことでも話題になりました。
つまり「Farout」は太陽圏のギリギリの場所に存在する準惑星であることが言えます。
また、非常に遠い距離をゆっくりと周回しており、太陽を1周するのに1000年以上かかると考えられていますが、その軌道は今後の観測によって明らかにされると思われます。
「Farout」は、11月にハワイのマウナケアの「すばる望遠鏡」で撮影され、12月初旬に南米チリのラスカンパナス天文台の「マゼラン望遠鏡」に追加観測が行われました。
また同チームは10月にも「The Goblin(ゴブリン)」の愛称の準惑星を発見したことで話題になりました。
Image Credit:すばる望遠鏡
■Just discovered! “Farout”, the Farthest Object Ever Seen in the Solar System
https://www.universetoday.com/140901/just-discovered-farout-the-farthest-object-ever-seen-in-the-solar-system/
https://www.space.com/42755-farout-farthest-solar-system-object-discovery.html