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宇宙をただよう“小さな幽霊星雲” ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 6369」

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 6369」。へびつかい座の方向、地球から約3500光年先にあります。

Hubble(ハッブル)宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 6369」(Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA))
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が観測した惑星状星雲「NGC 6369」(Credit: NASA and The Hubble Heritage Team (STScI/AURA))】

太陽のような恒星は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。やがて、ガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになります。

NGC 6369は、中心星を取り囲むガスの構造が幽霊のように見えるとして、海外では「Little Ghost Nebula(小さな幽霊星雲)」の通称でも知られています。

ちなみに、「惑星状」星雲という名前は、昔の望遠鏡で見た様子が惑星のように丸い姿だったことから、当時の天文学者たちによって名付けられました。実際の惑星とは関係のない天体ですが、その名残として現在でも惑星状星雲と呼ばれ続けています。

色が物語るガスの種類と状態

この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡にかつて搭載されていた「WFPC2(広視野惑星カメラ2)」で2002年2月に取得したデータを使って作成されました。

鮮やかな色は、観測時に使用されたフィルターに応じて着色したもので、ガスの種類とその状態(電離状態)を示しています。青色は電子を2つ失った酸素原子、緑色は唯一の電子を失った水素原子(水素イオン)、赤色は電子を1つだけ失った窒素原子からの光を表しています。直径約1光年にもなる目立つ青緑色のドーナツ状のリングは、紫外線による電離が最も強く起きている領域です。

一方、中心から離れた赤い領域は紫外線が弱いため電離があまり進んでいません。さらにその外側には、星がガスを放出し始めた初期の頃の、淡い名残も見ることができます。

太陽が迎える遠い未来の姿

NGC 6369は、1万年もすれば星間空間にガスが散逸することで、見えなくなると予想されています。その後は白色矮星だけが残り、数十億年かけてゆっくりと冷えていくことになります。

私たちの太陽も約50億年後には同じような最期を迎え、このような星雲を作り出すと考えられています。暗闇に浮かぶ美しいNGC 6369の姿は、遠い未来の太陽系を映し出していると言えるかもしれません。

冒頭の画像はNASAおよびESA(ヨーロッパ宇宙機関)から2002年11月7日付で公開されました。

本記事は2018年12月20日公開の記事を再構成したものです。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典