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こちらは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が観測した、惑星状星雲「らせん星雲(Helix Nebula)」のクローズアップ。

らせん星雲は、みずがめ座の方向・約650光年先にあります。

夕焼け雲、彗星、指先、吹き流し……いろいろなもので表現できそうな無数の柱状の構造が、ゆるやかな弧を描きつつ重なり合って立ち並ぶ、そんな光景が広がっています。

JWST(ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)のNIRCam(近赤外線カメラ)で観測した「らせん星雲」のクローズアップ(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Pagan (STScI))
【▲ ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のNIRCam(近赤外線カメラ)で観測した「らせん星雲」のクローズアップ(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, A. Pagan (STScI))】

惑星状星雲とは、超新星爆発を起こさない比較的軽い恒星(質量は太陽の8倍以下)が、恒星進化の最終段階で周囲に形成する天体です。

太陽のような恒星は、晩年を迎えると主系列星から赤色巨星に進化し、外層から周囲へとガスや塵(ダスト)を放出するようになります。やがて、ガスを失った星が赤色巨星から白色矮星へと移り変わる段階(中心星)になると、放出されたガスが星から放射された紫外線によって電離して光を放ち、惑星状星雲として観測されるようになります。

低温の塵やガスに高温のガスが衝突して作り出した光景

NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、画像の柱のような構造は、恒星としての寿命を終えつつある中心星から放出された高温のガスが、以前に放出された低温の塵やガスと衝突することで形作られています。

そのため、放射状に並ぶ柱ひとつひとつの延長線上には、中心星が位置しています。まるで、死にゆく星がそこにあることを星雲が訴えているかのようです。

次に掲載するのは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVISTA望遠鏡で観測したらせん星雲の全体像を使って、冒頭の画像の範囲を示したもの。柱状の構造が描く模様は虹彩にも似ていて、まるでこちらを見つめる目のようにも思えてきます。

ESOのVISTA望遠鏡で観測した「らせん星雲」の全体像(左)と、JWST(ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)で観測した「らせん星雲」のクローズアップ(右)(Credit: ESO, VISTA, NASA, ESA, CSA, STScI, J. Emerson (ESO); Acknowledgment: CASU)
【▲ ESOのVISTA望遠鏡で観測した「らせん星雲」の全体像(左)と、JWST(ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)で観測した「らせん星雲」のクローズアップ(右)(Credit: ESO, VISTA, NASA, ESA, CSA, STScI, J. Emerson (ESO); Acknowledgment: CASU)】

地球の生命がそうであるように、恒星にとっての死は、単なる終幕ではありません。

恒星内部の核融合反応で生成された酸素・炭素・窒素といった元素は、晩年を迎えた恒星によって、こうして星間空間へと放出されていきます。

ガスや塵は再び集まって分子雲を形成し、密度の特に高い部分では次の世代の星が産声を上げることでしょう。新たな星の周囲に形成された原始惑星系円盤では、塵が集積して惑星が誕生するかもしれません。

この地球、そして私たちの身体も、かつてこの宇宙に存在していた星々によって作り出された元素でできています。

今、私たちが観測しているらせん星雲を構成する物質も、はるか未来にどこかで生命を支えることになるかもしれません。

【▲ HST(ハッブル宇宙望遠鏡)、Spitzer(スピッツァー宇宙望遠鏡)、JWST(ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)で観測した「らせん星雲」を動画で比較(Credit: NASA, ESA, CSA, STScI, NASA-JPL, SCC, A. Pagan (STScI))】

冒頭の画像はウェッブ宇宙望遠鏡の「NIRCam(近赤外線カメラ)」で取得したデータを使って作成されたもので、NASAやESA(ヨーロッパ宇宙機関)から2026年1月20日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典