
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
今回は、惑星状星雲の中でも特に有名な天体のひとつ「らせん星雲(Helix Nebula/NGC 7293)」を振り返ります。教科書や天体紹介でもよく登場し、輪のように広がるガスと中心部の光が合わさって、“宇宙の眼”のようにも例えられます。
らせん星雲は、太陽と同程度の質量(重さ)の恒星が晩年に外層のガスを放出し、中心に高温の白色矮星が残った姿だと考えられています。つまりこれは、恒星が最期に周囲へ放ったガスが照らし出された「星の最期の姿」といえる段階で、私たちの太陽もおよそ数十億年先の遠い未来に似た道をたどると見込まれています。
- Image Credit: X-ray: NASA/CXC; Ultraviolet: NASA/JPL-Caltech/SSC; Optical: NASA/STScI(M. Meixner)/ESA/NRAO(T.A. Rector); Infrared: NASA/JPL-Caltech/K. Su
- Image Credit: NASA/STScI(M. Meixner)/ESA/NRAO(T.A. Rector)
- sorae - こちらを見つめているのか…多波長で観測した神秘的な眼「らせん星雲」

この画像は、2つの「らせん星雲」を並べたものです。見た目が異なるのは、撮影(合成)に使われた波長が違うためです。
左は「可視光域(光学)」で捉えた合成画像です。人の目で捉えられる波長帯に近い観測データを合成したもので、星雲の輪郭や、ガスが光っている部分の形が分かりやすく表れます。
右は「多波長合成(赤外線・可視光・紫外線・X線など)」による画像です。さまざまな波長で得られたデータを重ね、塵(ダスト)や高温のガス、中心星付近の高エネルギー成分など、肉眼では見えない情報を擬似カラーで“見える化”したものです。
このように、同じ天体でも波長を変えると“写る主役”が変わってきます。可視光では美しいリング状の構造が目立ちますが、多波長で見ると、比較的冷たい成分から高温・高エネルギーの成分までが重なり、らせん星雲が単純な構造ではないことが伝わってきます。見慣れた天体ほど、別の波長で見たときの印象の差が大きく感じられるかもしれません。
ときどき、可視光以外の波長の画像について「天体の本当の姿」といった言い方がされることがありますが、実際には“本当の姿”はひとつに決められるものではありません。肉眼で見える姿も確かにその天体の一面ですし、肉眼では見えない成分まで含めて理解することも、また別の意味で「より実態に近い姿」といえます。たとえば人体でも、目で見えるのは表面だけです。レントゲン写真は骨など“内側の情報”を別の方法で見せてくれるように、天体も波長を変えることで違う情報が見えてきます。
結局のところ、私たちが見ているのは「波長という窓を通して切り取った宇宙」なのかもしれません。
編集/sorae編集部
関連記事
- 「らせん星雲」の白色矮星から届くX線は破壊された惑星に由来する可能性
- 青と赤のコントラストが美しい。宇宙と地上から撮影された「らせん星雲」
- クラゲのような不思議な姿 “カシオペヤ座”の惑星状星雲「HFG 1」
- 灼熱の星が輝かせた蝶のような惑星状星雲「NGC 6302」 チリのジェミニ南望遠鏡が観測
























