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190光年先・赤色矮星の連星で地球サイズの惑星を2つ発見 確認待ちの候補も1つ

こちらは、ケフェウス座の方向・約190光年先の連星「TOI-2267」のイメージ図。

TOI-2267を構成する2つの赤色矮星、その両方に公転する惑星が描かれています。

研究成果をもとに描かれたTOI-2267系のイメージ図(Credit: Mario Sucerquia-University of Grenoble Alpes)
【▲ 研究成果をもとに描かれたTOI-2267系のイメージ図(Credit: Mario Sucerquia-University of Grenoble Alpes)】

リエージュ大学のSebastián Zúñiga-Fernándezさんたち国際研究チームは、TOI-2267で2つの太陽系外惑星と、1つの太陽系外惑星候補を発見したとする研究成果を発表しました。

2つの惑星および惑星候補の直径は、いずれも地球と同程度と推定されています。惑星候補の存在が確認された場合、想像図のように、TOI-2267では2つの赤色矮星の両方を惑星が公転している可能性が高いと研究チームは考えています(詳しい理由は後述)。

赤色矮星の連星に地球サイズの惑星が3つ存在する可能性

TOI-2267は2つの赤色矮星「TOI-2267A」と「TOI-2267B」からなる連星です。この記事では以下「A星」「B星」と表記します。

A星とB星の主な性質は、以下の通りです。ざっくり言い換えると、太陽と比べてサイズは1~2割程度で表面温度は約半分の、小さくて低温な恒星のペア、ということになります。

TOI-2267を構成する2つの赤色矮星の主な性質。Zúñiga-Fernández et al. 2025をもとに作成(Credit: sorae編集部)
【▲ TOI-2267を構成する2つの赤色矮星の主な性質。Zúñiga-Fernández et al. 2025をもとに作成(Credit: sorae編集部)】

研究チームが発見を報告した2つの惑星は「TOI-2267 b」と「TOI-2267 c」と呼ばれています。この記事では以下「惑星b」「惑星c」と表記します。また、惑星候補は「TOI-2267.02」と呼ばれています。

惑星と惑星候補の主な性質は、以下の通りです。公転周期は2日前後から3日半程度。A星とB星のどちらを公転しているのかまではわかっておらず、推定される半径は公転している星によって異なります。

ただ、どちらを公転しているにしても、半径はいずれも地球とほぼ同じ~1.4倍程度の範囲に収まっていて、3つとも地球に似た岩石惑星の可能性があります。

TOI-2267で発見が報告された2つの太陽系外惑星と1つの太陽系外惑星候補の主な性質。Zúñiga-Fernández et al. 2025をもとに作成(Credit: sorae編集部)
【▲ TOI-2267で発見が報告された2つの太陽系外惑星と1つの太陽系外惑星候補の主な性質。Zúñiga-Fernández et al. 2025をもとに作成(Credit: sorae編集部)】

公転周期から“同じ星を公転していない組み合わせ”を推定

ここで注目したいのは、惑星bと惑星候補の公転周期です。どちらも2日余りと近い値なのですが、これは同じ星を公転している場合に互いの公転軌道が非常に接近することを意味します。

研究チームがシミュレーションを行ったところ、惑星bと惑星候補がA星とB星のどちらを一緒に公転しているケースでも、惑星系は不安定であることがわかりました。

したがって、仮に惑星候補が実際に存在する惑星なのであれば、惑星bと同じ星を公転していない可能性が高いことになります。つまり、A星とB星はどちらも惑星を持つ可能性があるのです。

2つの惑星は軌道共鳴=同じ星を公転している可能性も

また、惑星bと惑星cの公転周期の比は3:2に近く、重力を介した相互作用によって公転周期が整数比に近付く「軌道共鳴」が起きている可能性を研究チームは指摘しています。

軌道共鳴は木星の衛星どうしや海王星と太陽系外縁天体などの太陽系内の天体をはじめ、太陽系外惑星でも確認されている現象です。

研究チームはシミュレーション結果と公転周期の比をもとに、惑星bと惑星cがA星とB星のどちらか同じ星を公転していて、惑星候補はもう片方の星を公転している可能性が高いと考えています。

【▲ 軌道共鳴の例:6つの惑星のうち外側の5つが共鳴しているTOI-178の惑星系を表現した動画(Credit: ESO/L. Calçada)】

近接した赤色矮星の連星としても注目

今回の発見における別の注目点として、2つの赤色矮星が近接していることがあげられます。

連星系で太陽系外惑星が見つかるのは、今回のTOI-2267が初めてではありません。連星をなす恒星の片方を公転している場合もあれば、2つの恒星がおさまる大きな軌道で両方を公転している場合(周連星惑星と呼ばれる)もあります。

惑星は若い星を取り囲むガスと塵(ダスト)でできた原始惑星系円盤で誕生するとされています。ただ、連星系では円盤の進化が妨げられたり、誕生した惑星が惑星系から放り出されてしまう可能性もあると考えられています。

研究チームによると、これまでの観測結果からは、星の間隔が数十~数百天文単位(※)以上離れていれば円盤が維持される、という予測を支持する結果が得られているといいます。ところが、研究チームが割り出したTOI-2267のA星とB星の間隔は、約8天文単位しかないのです。

近接した赤色矮星の連星系における惑星形成や軌道の力学的な挙動を調査する上で、TOI-2267は良い研究対象となるかもしれません。

※…1天文単位(au)=約1億5000万km、太陽から地球までの平均距離に由来する。8天文単位は太陽から木星まで(約5.2天文単位)よりも遠く、土星まで(約9.6天文単位)よりも近い距離。

なお、TOI-2267では、惑星が恒星の手前を横切る「トランジット」という現象を利用した観測手法「トランジット法」で惑星が検出されています。トランジット法については以下の関連記事をご参照ください。

研究チームはTOI-2267について、近接した連星系において両方の星を公転する惑星が、いずれもトランジットで発見された初の事例になるかもしれないと指摘しています。

ただし、前述の通りTOI-2267で確認された惑星はbとcの2つだけであり、惑星候補の1つは今後の追加観測で確認されるのを待っている段階です。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典