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55光年先の褐色矮星を直接撮像で発見 すばる望遠鏡の観測データも貢献

こちらは、W. M. ケック天文台(ハワイ)のケックII望遠鏡で取得した赤外線画像です。

矢印の先にある黄色で示された天体は、ケックII望遠鏡が直接撮像した約55光年先の褐色矮星。

恒星よりも軽くて惑星よりも重い、双方の中間的な性質を持つ褐色矮星は、恒星のように自ら可視光線で明るく輝くものではないため、発見が難しい天体のひとつです。

ケックII望遠鏡の近赤外線カメラ「NIRC2」で直接撮像された褐色矮星「J1446B」(矢印の先)(Credit: Taichi Uyama (Astrobiology Center/CSUN) / W. M. Keck Observatory)
【▲ ケックII望遠鏡の近赤外線カメラ「NIRC2」で直接撮像された褐色矮星「J1446B」(矢印の先)(Credit: Taichi Uyama (Astrobiology Center/CSUN) / W. M. Keck Observatory)】

地上と宇宙 3つの望遠鏡で取得した観測データを組み合わせて発見

自然科学研究機構アストロバイオロジーセンターの鵜山太智博士を筆頭とする国際研究チームは、うしかい座の赤色矮星「LSPM J1446+4633」(以下「J1446」)を公転する褐色矮星「J1446B」を、ケックII望遠鏡の赤外線カメラ「NIRC2」による直接撮像で発見したとする研究成果を発表しました。

冒頭の画像に写っている褐色矮星が、今回発見されたJ1446Bです。質量は木星の約60倍、公転軌道の軌道長半径は約4.3天文単位(※)で、赤色矮星J1446を約20年かけて公転していると推定されています。ちなみに、赤色矮星J1446は画像中央の白丸の位置にありますが、画像解析の過程でマスク処理されています。

※…1天文単位(au)=約1億5000万km、太陽から地球までの平均距離に由来。

また、褐色矮星J1446Bの赤外線波長での明るさは、約30%変動していることも観測を通じて明らかになりました。この変動は、木星のような巨大ガス惑星に似た雲や嵐(風の流れ)といった大気現象が、より大きな規模で起きている可能性を示しています。

ケックII望遠鏡による直接撮像に加えて、NAOJ=国立天文台のすばる望遠鏡に搭載されている赤外線分光装置「IRD」によるJ1446の視線速度データや、ESA=ヨーロッパ宇宙機関が運用していたガイア宇宙望遠鏡(Gaia)による位置測定データを組み合わせることで、研究チームはJ1446Bの軌道を精密に求めることができました。

褐色矮星「J1446B」の軌道解析の結果(左)と、すばる望遠鏡が観測した赤色矮星「J1446」の視線速度の変動(右)を示した図。左図の青丸は2023年8月と2024年1月に実施されたケックIIの直接撮像、赤矢印はガイア宇宙望遠鏡の観測で得られたJ1446の固有運動加速を、右図の赤丸はすばる望遠鏡の視線速度観測をそれぞれ表している(Credit: An Qier (UCSB) /Uyama et al. (2025))
【▲ 褐色矮星「J1446B」の軌道解析の結果(左)と、すばる望遠鏡が観測した赤色矮星「J1446」の視線速度の変動(右)を示した図。左図の青丸は2023年8月と2024年1月に実施されたケックIIの直接撮像、赤矢印はガイア宇宙望遠鏡の観測で得られたJ1446の固有運動加速を、右図の赤丸はすばる望遠鏡の視線速度観測をそれぞれ表している(Credit: An Qier (UCSB) /Uyama et al. (2025))】

研究チームはJ1446Bについて、褐色矮星の形成過程や大気中の雲・循環を研究する上でのベンチマークになり得るとして注目。今後の分光観測(電磁波の波長ごとの強さの分布であるスペクトルを得る観測手法)などを通じて、J1446Bの天候マップを描けるかもしれないと期待しています。

J1446のような赤色矮星は天の川銀河ではありふれた恒星ですが、太陽系の近くにあっても暗くて観測が難しいため、赤色矮星を公転する惑星や褐色矮星が統計的にどれくらい存在するのかは、まだ明らかになっていません。赤色矮星を公転する褐色矮星がどれくらい存在するのか、その質量がどれくらいなのかを知ることは、恒星と惑星それぞれの形成過程の共通点や差異を理解する上で重要だといいます。

研究を率いた鵜山さんは「褐色矮星の天気を調べることは、大気がどのように形成されるかを理解する手がかりになるだけでなく、太陽系外の生命が存在しうる惑星を探す上でも重要な情報を与えてくれます」とコメントしています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典