ロケットを赤道上の海上に浮かぶ船から打ち上げるという、ユニークなサービスを展開しているシー・ローンチ社は8月22日、コスト削減を目指し、人員の約1/4の削減と、打ち上げで使われる船の運用を一時的に停止し、係船させることを発表した。

シー・ローンチ社は1995年に設立された会社で、ウクライナ製のゼニート3SLロケットを、石油採掘リグを改造した発射台「オーシャン・オデッセイ」から打ち上げるサービスを展開している。オーシャン・オデッセイと、打ち上げを管制する司令船シー・ローンチ・コマンダーは米国カリフォルニア州を母港としており、これらは太平洋の赤道上まで航行し、そこからゼニート3SLを打ち上げる。赤道上から打ち上げることで、地球の自転速度を最大限利用できる他、軌道傾斜角0度の静止トランスファー軌道に直接投入できるという利点を持ち、また静止衛星にとっては静止軌道へ向かうための軌道変更に使うエネルギーが少なくなるメリットもある。

しかし、シー・ローンチは36回の打ち上げのうち、4回失敗しており、打ち上げ成功率は89%とあまり高くはない。2007年1月の失敗では、これが遠因となり、同社は一度破産を経験している。

つい最近では2013年2月1日に失敗しており、打ち上げが再開されたのは今年の5月26日になってからであった。この再開打ち上げは成功したものの、現在同社は2016年まで打ち上げを受注できていない。今回の人員整理と係船は、それを受けての処置だとされる。

同社によれば、要求さえあれば、2015年中期から打ち上げを再開でき、また打ち上げ数を増加させることも可能だとしている。

だが、ゼニートはウクライナ製ではあるが、ロケット・エンジンはロシア製で、打ち上げに使う船は米国の港にあり、シー・ローンチ社自体も米国のボーイング社が管理しているという、複雑な関係にある。昨今のロシアとウクライナの問題、そして米国とロシアとの対立が絡んでくれば、シー・ローンチ社の復活に支障が出る可能性は大いにある。

 

■News & Events : Sea Launch Takes Proactive Steps to Address Manifest Gap
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