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こちらは、NASA(アメリカ航空宇宙局)の火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」が撮影した、火星の朝の風景。キュリオシティが登り続けているゲール・クレーター中央のアイオリス山(シャープ山)の山腹から、はるか遠くに連なる崖を眺めています。

NASAの火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」が2026年8月11日に撮影した火星の朝の風景(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)
【▲ NASAの火星探査車「Curiosity(キュリオシティ)」が2026年8月11日に撮影した火星の朝の風景(Credit: NASA/JPL-Caltech/MSSS)】

青みを帯びた地面の奥、地平線に沿って広がるゴツゴツとした地形が、朝日を浴びて白っぽく浮かび上がっているのがわかります。これは、風による侵食作用(風食)で岩石のもろい部分が削られることで、残った部分が細長い流線形の高台となっている「ヤルダン(yardang)」と呼ばれる地形です。

JPL(NASAジェット推進研究所)によると、ミッションの科学者たちが間近で見たいと長く待ち望んできたこのヤルダンの崖を、今回の撮影ではこれまでで最も詳しく捉えることができました。

撮影は2026年8月11日、火星の現地時間で8時30分に、キュリオシティのマストに搭載されているカメラ「Mastcam」を使って行われました。JPLによれば、公開されるMastcamの画像は地球の昼間に太陽光の下で見たような色合いにホワイトバランスを調整することが多いものの、今回はその処理をあえて行わず、火星の早朝らしい印象を残したといいます。

“場違い”に見えるヤルダン層

高さ約5kmのアイオリス山は各時代に積み重なった地層でできており、キュリオシティが登り続けている山腹の一帯では地層の最も上に「ヤルダン層」があります。NASAによれば、ヤルダン層はアイオリス山の北西部に差し渡し約16kmにわたって広がっています。

アイオリス山では、ヤルダン層の堆積が始まる前にすでに侵食が始まっていた可能性があるといいます。仮にそうであれば、地層の形で連続的に記録されてきた火星の気候の歴史には、侵食によって失われた空白が生じていることになります。

キュリオシティのミッションでプロジェクトサイエンティストを務めるJPLのAshwin Vasavada氏は、「ヤルダン層は場違いに見えます。色が違いますし、地層は奇妙な角度で傾いていて、まるで塗り付けられたかのようにさえ見えます。でも、だからこそたどり着くのが楽しみなのです。この地層が何によってできたのか、正確なところは誰にもわかっていませんが、古代の火山噴火で積もった火山灰かもしれないという考えがあります」と述べています。

2027年にヤルダンの麓へ

JPLによると、キュリオシティは2027年のうちにヤルダンの麓へ到達することが期待されており、ミッションの科学者たちは他では得られない謎めいた地形のデータを集めたいと考えています。

果たしてヤルダン層は火山灰でできているのか、地層に記録された歴史に生じているとみられる空白はどれくらいなのか。キュリオシティによる現地での探査は、数十億年前に一帯を覆っていた湖や川が干上がった後、火星で何が起きたのかを読み解く重要な手がかりになるかもしれません。

冒頭の画像はJPLから2026年10月6日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典