広告
広告

鮮やかな青やマゼンタに輝くレンズ群。ずらりと並ぶレンズが異彩を放つこの画像は、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)が開発を進めている宇宙望遠鏡「Plato(プラトー)」の26台のカメラを間近で捉えたものです。

ESAの宇宙望遠鏡「Plato(プラトー)」に搭載された26台のカメラのクローズアップ(Credit: ESA)
【▲ ESAの宇宙望遠鏡「Plato(プラトー)」に搭載された26台のカメラのクローズアップ(Credit: ESA)】

ESAは2026年4月23日付で、Plato宇宙望遠鏡が過酷な宇宙空間を模した環境試験を無事に完了したことを発表しました。これにより、2027年の打ち上げに向けて大きな関門を突破したことになります。

地球型惑星を探し出す26台の「目」

Platoは、太陽に似た恒星のハビタブルゾーン(※)を公転する地球型惑星の発見と、その特性の調査を主な目的として開発された宇宙望遠鏡です。

※…大気を持つ惑星の表面に液体の水が存在し得る、恒星から一定の範囲にある領域。童話「3びきのくま」にちなんで「ゴルディロックスゾーン」とも呼ばれる。

観測機器として搭載されているのは、画像にもある26台のカメラです。Platoはこれらのカメラを同時に使用して、一度に15万個以上の明るい恒星を監視し、“第2の地球の候補”を探し出すことに挑みます。

Platoは太陽系外惑星を直接観測することはできませんが、かわりに恒星の手前を惑星が横切る「トランジット」という現象が起きた際の、星の明るさのごくわずかな低下をもとに惑星を検出します。

【▲ 参考動画:惑星のトランジットによって恒星の明るさが変化する様子を示した動画(Credit: ESO/L. Calçada)】

繰り返し起きるトランジットを観測することで、その周期をもとに惑星の公転周期を知ったり、トランジットが起きた時の恒星の光度曲線(時間の経過にあわせて変化する天体の光度を示した曲線)をもとに、惑星の直径や大気の有無といった情報を得たりすることができます。

大型宇宙シミュレーターでの過酷なテスト

宇宙開発において「飛行する時と同じ条件でテストする(test as you fly)」ことは非常に重要です。ESAによれば、Platoはオランダのテストセンターにある「LSS(Large Space Simulator:大型宇宙シミュレーター)」と呼ばれる巨大なチャンバーに入れられ、試験が行われました。

チャンバー内は標準大気圧の10億分の1という真空状態にされるとともに、壁面に液体窒素を循環させることで、宇宙の極低温が再現されました。同時に、強力なヒーターを用いて、太陽光の強い熱も再現されています。

【▲ LSS(大型宇宙シミュレーター)に運び込まれるPlato(プラトー)宇宙望遠鏡のタイムラプス(Credit: ESA)】

観測中のPlatoは、恒星の明るさに生じるごくわずかな変化(100万分の80以下)を捉えます。ESAのPlatoミッションでプロジェクトサイエンティストを務めるAna Heras氏によると、そのためにはカメラのピント(焦点)などを極めて正確に保つ必要があります。

実際のテストでは、高温フェーズと低温フェーズの両方において、サンシールド(日よけ)で保護されたカメラがマイナス70℃~マイナス90℃の間に正しく維持されるかどうかが確認されました。同ミッションでプロジェクトマネージャーを務めるThomas Walloschek氏は、このような高精度な温度制御によって、カメラの最適な焦点を期待通りに維持できるかが厳しくチェックされたと語っています。

2027年1月の打ち上げに向けて

宇宙環境を模した一連のテストは完了しましたが、LSS内で収集された膨大なデータの分析は今後数か月にわたって続けられます。ESAによると、このデータは機体の熱モデルの改善に用いられ、実際に宇宙を飛行する際のカメラの応答予測をさらに正確なものにするために利用されます。

Plato宇宙望遠鏡は2026年末までに打ち上げ準備が完了する見通しで、打ち上げは2027年1月にフランス領ギアナから「Ariane 6(アリアン6)」ロケットで行われる予定です。打ち上げ後は、地球から見て太陽の反対側にあるラグランジュ点「L2」(地球からの距離は約150万km)を周回する軌道に入り、生命の存在する可能性がある惑星を探す壮大なミッションに挑むことになります。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

関連記事

参考文献・出典