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NASA(アメリカ航空宇宙局)は2026年10月23日付で、ガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト(Neil Gehrels Swift)」の科学ミッションが終了したと発表しました。最後の観測が行われたのは2026年10月20日で、スウィフトは今後数週間のうちに大気圏へ再突入する見込みです。

ガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」のCGイメージ(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center Conceptual Image Lab)
【▲ ガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」のCGイメージ(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center Conceptual Image Lab)】

ガンマ線バーストの発生通知と迅速な観測を担った

ニール・ゲーレルス・スウィフトは短時間で爆発的なガンマ線が放出される現象「ガンマ線バースト」の観測を目的に、2004年11月に打ち上げられた天文衛星です。当初の正式名称は「Swift Gamma Ray Burst Explorer」でしたが、ミッションを率いた初代主任研究者で2017年に亡くなったNeil Gehrels氏をたたえ、NASAが2018年に現在の名称に改めています。

搭載されている3基の望遠鏡でガンマ線・X線・紫外線・可視光線を捉えることで、ガンマ線バーストの発生検知からその残光の観測をはじめ、活動銀河や超新星爆発、太陽系内の小惑星や彗星といった天体や現象の観測を多波長で行うことが可能でした。

ガンマ線バーストはガンマ線が短時間に強く放出される現象で、宇宙で最も強力な爆発とされています。発生後には、X線や可視光などで輝きながら徐々に暗くなっていく「残光」が観測されます。

ミッションの主任研究者であるNASAゴダード宇宙飛行センターのS. Bradley Cenko氏によると、ガンマ線バーストは短時間で消えてしまうため、大型の望遠鏡を向けて詳しく調べることができませんでした。

そこでスウィフトは、「BAT(バーストアラート望遠鏡)」でガンマ線バーストをいち早く検出してその位置を特定し、他の天文台に伝えたうえで、自身でも残光が消える前に「UVOT(紫外線・可視光望遠鏡)」と「XRT(X線望遠鏡)」による観測を行うように設計されました。この一連の動作にかかる時間は、通常1分ほどだったといいます。

ショートガンマ線バーストの残光を初めて検出

スウィフトの素早さが特に活きたのが、継続時間が2秒未満と短い「ショートガンマ線バースト」の観測です。

2005年5月、スウィフトは継続時間が0.1秒にも満たない「GRB 050509B」を観測し、ショートガンマ線バーストでは初めてとなる残光を検出しました。NASAによると、この観測は長年の理論モデルを裏付け、ショートガンマ線バーストが中性子星どうしの合体で起きている可能性が高いことを示すものとなりました。

大気の抵抗による高度低下で科学観測を終了

地球の大気圏と宇宙空間の境界は高度100km(または80km)とされていますが、それより上空にも希薄ながら大気は存在していて、低軌道を周回する人工衛星や宇宙ステーションなどは大気の抵抗を受けて徐々に高度が下がっていきます。

軌道を変更できるエンジンが搭載されていないスウィフトは、打ち上げから20年以上にわたって希薄な大気による抵抗を受けたことで、高度が低下し続けていました。重要な役割を担い続けたスウィフトのミッションを継続するべく、NASAは民間企業の宇宙機を用いた軌道上昇を計画したものの、宇宙機側の姿勢制御に問題が生じたため、この計画は断念されました。

スウィフトの観測データは今後も活用されていく

NASAは今後も突発的な天体現象へ素早く対応する新たな手段に取り組むとしており、スウィフトの不在による空白は当面他のミッションで補うと述べています。

NASAによると、スウィフトは22年近くの間に2000以上のガンマ線バーストを観測し、1400以上の超新星爆発を調べたほか、そのデータは約7000本の論文に貢献しました。ガンマ線バーストを追い続けたスウィフトの記録は、運用が終わった後も新たな研究に活用されていくことでしょう。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典