
日本の民間企業ispaceは2025年3月4日付で、同社の月着陸機「RESILIENCE(レジリエンス)」の月面着陸予定日時を発表しました。
ispaceによると、RESILIENCEの着陸予定日時は日本時間2025年6月6日4時24分で、着陸目標地点は寒さの海(Mare Frigoris)の中央付近(月の北緯60.5度・西経4.6度)です。RESILIENCEの各サブシステムの状態は正常で、搭載されているペイロードにも異常はなく、ミッションは順調に進捗しているとされています。
なお、着陸目標地点にはバックアップとして3つの候補があり、着陸日・時間帯はそれぞれの候補で異なることから、運用の状況に応じて着陸予定日時が6月6日午後~6月8日に変更される可能性もあるということです。

ispaceの月着陸機RESILIENCEとは
RESILIENCEはispaceの月面探査プログラム「HAKUTO-R」ミッション2 “VENTURE MOON” の月着陸機です。日本時間2025年1月15日にアメリカの民間企業SpaceX(スペースX)の「Falcon 9(ファルコン9)」ロケットで打ち上げられました。RESILIENCEにはispace EUROPEが開発した小型月面探査車(マイクロローバー)「TENACIOUS(テネシアス)」など6のペイロードが搭載されています。

今回はispaceにとって2回目の月着陸ミッションです。1回目のHAKUTO-Rミッション1で同社は日本初・民間企業初の月面軟着陸を目指したものの、ミッションの計画段階で生じた着陸地点の変更にともなうソフトウェアの問題によって推定高度に誤差が生じたため、2023年4月26日に試みられた軟着陸は失敗に終わっています。
月周回軌道には2025年5月上旬に到達する見込み

ispaceによると、地球を周回する楕円軌道を飛行していたRESILIENCEは、日本時間2025年2月15日7時43分に月の高度約8400kmを通過して月フライバイに成功しました。今回のHAKUTO-Rミッション2では10段階のマイルストーンが設定されており、月フライバイは5段階目のSuccess 5にあたります。
軌道を変更したRESILIENCEは地球や月を一旦離れ、低エネルギー遷移軌道(※)に移って深宇宙を飛行しています。2025年4月24日頃にはSuccess 6にあたるすべての深宇宙軌道制御マヌーバの完了を迎え、5月6日頃にはSuccess 7にあたる月周回軌道への到達を達成する予定だということです。
※…low-energy transfer orbit。飛行するのに時間はかかるものの、少ない推進剤で月へ向かうことができるタイプの軌道。

相乗り打ち上げの米民間月着陸機は月面着陸に成功
また、RESILIENCEを打ち上げたのと同じロケットには、アメリカの民間企業Firefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)の月着陸機「Blue Ghost(ブルーゴースト)」も搭載されていました。異なる軌道経路をたどるBlue Ghostは一足早く月周回軌道に投入された後、日本時間2025年3月2日に月面へ軟着陸することに成功しています。
文・編集/sorae編集部
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