日欧の水星探査ミッション「ベピ・コロンボ」水星到着時期を2026年11月に変更
【▲ 水星スイングバイを行う日欧の水星探査ミッション「BepiColombo(ベピ・コロンボ)」探査機の想像図(Credit: ESA/ATG medialab)】

欧州宇宙機関(ESA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2024年9月2日付で、ESAとJAXAの水星探査ミッション「BepiColombo」(ベピ・コロンボ、ベピコロンボ)の水星到着時期が当初の予定よりも1年近く先の2026年11月に変更されたことを発表しました。

BepiColomboはヨーロッパの水星表面探査機「Mercury Planetary Orbiter(MPO)」と日本の水星磁気圏探査機「Mercury Magnetospheric Orbiter(MMO、みお)」の2機による水星探査ミッションです。ここに両探査機の水星周回軌道投入前までの飛行を担当するヨーロッパの電気推進モジュール「Mercury Transfer Module(MTM)」が加わり、現在の3機は縦に積み重なった状態で飛行を続けています。

探査機を水星周回軌道へ投入するために、BepiColomboでは地球・金星・水星で合計9回のスイングバイ(※太陽を公転する惑星などの重力を利用して軌道を変更する方法)実施が計画されています。2023年6月には全体で6回目となる第3回水星スイングバイに成功。現在のBepiColombo探査機は2024年9月に行われる第4回水星スイングバイに向けて飛行を続けていますが、ESAはMTMの電源系で問題が発生してイオンエンジンに十分な電力を供給できず、最大推力を発揮できなくなっていることを2024年5月に明らかにしていました。

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ESAによると、2024年4月の問題発生以来数か月間にわたる調査の結果、MTMのイオンエンジンが発揮する推力は当初予定されていた2025年12月の水星到着に必要な推力を下回り続けると結論付けられました。水星到着後の科学観測を変更することなく、得られる推力で水星に到着できる新たな軌道をESAが検討した結果、前述の通り2026年11月に到着する軌道が考案されたということです。

なお、第4回水星スイングバイでBepiColombo探査機は水星表面から約165kmまで接近します。最接近時刻は日本時間2024年9月5日6時48分の予定です。その後もBepiColombo探査機は2024年12月と2025年1月にも水星スイングバイを行って軌道を変更し、水星到着を目指すことになります。【最終更新:2024年9月3日10時台】

【▲ 水星スイングバイを行う日欧の水星探査ミッション「BepiColombo(ベピ・コロンボ)」探査機の想像図(Credit: ESA/ATG medialab)】
【▲ 水星スイングバイを行う日欧の水星探査ミッション「BepiColombo(ベピ・コロンボ)」探査機の想像図(Credit: ESA/ATG medialab)】
【▲ BepiColombo探査機の分解図。上から:日本の水星磁気圏探査機「MMO(みお)」、水星周回軌道に投入されるまでのあいだMMOを保護する筒状のサンシールド、欧州の水星表面探査機「MPO」、欧州の電気推進モジュール「MTM」(Credit: ESA/ATG medialab)】
【▲ BepiColombo探査機の分解図。上から:日本の水星磁気圏探査機「MMO(みお)」、水星周回軌道に投入されるまでのあいだMMOを保護する筒状のサンシールド、欧州の水星表面探査機「MPO」、欧州の電気推進モジュール「MTM」(Credit: ESA/ATG medialab)】
【▲ 2024年9月の第4回水星スイングバイにおける経路とタイムラインを示した図(日時は中央ヨーロッパ夏時間)(Credit: ESA)】
【▲ 2024年9月の第4回水星スイングバイにおける経路とタイムラインを示した図(日時は中央ヨーロッパ夏時間)(Credit: ESA)】

 

Source

  • ESA - Fourth Mercury flyby begins BepiColombo’s new trajectory
  • JAXA/ISAS - 国際水星探査計画「ベピコロンボ(BepiColombo)」の水星到着時期の変更

文・編集/sorae編集部