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JAXAは、2020年12月5日10時30分から「はやぶさ2」再突入カプセル分離運用を行いました。カプセルは14時30分に正常に分離され、現在地球に向かって落下しています。

分離を喜ぶ(Credit: JAXA)

12月6日2時28分27秒に大気圏再突入、同日3時前にはオーストラリア・南オーストラリア州のウーメラ立入制限区域内に降り立つ予定です。夜明けを待って回収されたカプセルは、現地でガスの初期分析を行った後に特別機で日本に輸送され、早ければ12月8日に「帰国」します。
帰国後はただちに神奈川県相模原市のJAXA宇宙科学研究所に運び込まれ、開封の準備が始まります。

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今日の運用の流れ

10時 臼田宇宙空間観測所のアンテナでチェック開始
11時6分 探査機の状態確認が終わり、カプセル分離運用を開始
11時45分 最初のシーケンスが行われる
13時 分離姿勢一歩手前に姿勢変更
14時20分 最終Go判断を行い、分離可能と判断されたので分離姿勢に
14時30分 カプセル分離

カプセル大気圏再突入後の動作

再突入カプセルは、平らな蓋の付いた中華鍋のような形をしています。大きく分けて鍋本体・蓋・中身の3パーツでできており、鍋本体が「前面ヒートシールド」、蓋が「背面ヒートシールド」、中身が「インスツルメントモジュール」という名前です。小惑星リュウグウのかけらは、インスツルメントモジュール中央部にあるサンプルコンテナに収納されています。
再突入時の各動作は地上から指令することなく自動で行われます。

はやぶさ2の再突入カプセル(Credit: JAXA)
初代「はやぶさ」の背面ヒートシールド(Credit: JAXA)
初代「はやぶさ」のインスツルメントモジュール(Credit: JAXA)
初代「はやぶさ」の前面ヒートシールド(Credit: JAXA)
カプセルの動き(Credit: JAXA)

再突入の際には鍋底の円い部分を地上に向け降下します。カプセルには減速できる装置がありませんので、惑星間航行速度、すなわち秒速11.6km(マッハ34、時速41,760km)という超高速で突っ込んできます。
再突入開始は、高度120kmを通過した時点で判断されます。日本時間で12月6日2時28分27秒の予定です。
カプセルは徐々に濃くなる大気に受け止められ、断熱圧縮で発光を始めます。流星が光るのと同じ仕組みですが、こちらは地上到達前に燃え尽きたりはしません。この光を日本から見ることはできません。発光が起こるのはおおむね高度80km~40kmを通過する時点で、2時28分49秒~29分25秒ごろと予想されています。流れ星よりはずっと長く光ります。
発光が終わった頃には、速度は秒速3km(マッハ8.8、時速10,800km)に減速されています。このまま高度10km前後まで弾道効果を続け、速度は秒速100m(マッハ0.3、時速360km)になります。
2時31~33分の間、高度10km前後で前面ヒートシールド・背面ヒートシールドを分離します。このとき、離れていく背面ヒートシールドによって、インスツルメントモジュールに装着されているパラシュートが引き出されます。同時に、インスツルメントモジュールの現在地を知らせる電波ビーコンの発信が始まります。
ビーコンを発進しながら降りてくるインスツルメントモジュールは、風に流されながら秒速10cmほどで地上を目指します。風の具合で変わりますが、おおむね2時47~57分頃着陸し、風に流されるのを防ぐためにパラシュートが切り離されます。

パラシュートが展開し、分離したカプセルの各パーツのイメージ(Credit: 金木利憲)

パラシュート展開時に切り離される二つのヒートシールドは、それぞれインスツルメントモジュールとは別の場所に落下しますが、貴重な資料となるので回収されることになっています。

 

Image Credit: JAXA、金木利憲
文/金木利憲

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