![NASA木星探査機ジュノーがイオの観測史上最も激しい火山活動を捉えた](https://sorae.info/wp-content/uploads/2025/02/2025-02-11-io-activity-juno-nasa-PIA26527.jpg)
こちらはアメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「Juno(ジュノー)」に搭載されている「赤外線オーロラマッピング装置(JIRAM)」を使って赤外線の波長で観測された、木星の衛星Io(イオ)の様子。白い線は緯度と経度を示すために付け足されたもので、イオの南極付近の様子が捉えられています。
![アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「Juno(ジュノー)」に搭載されている「赤外線オーロラマッピング装置(JIRAM)」で2024年12月27日に観測された木星の衛星Io(イオ)(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/ASI/INAF/JIRAM)](https://sorae.info/wp-content/uploads/2025/02/2025-02-11-io-activity-juno-nasa-PIA26527.jpg)
注目は、画像中央やや右側に写っている特に明るいホットスポットです。NASAのジェット推進研究所(JPL)によると、北海道の面積よりも広い約10万平方kmと推定されているこのエリアでは噴火によって莫大なエネルギーが放出されていて、検出器を飽和状態にさせるほどの強力な赤外線が放射されているといいます。
画像の作成に使用されたデータは、Junoによる68回目の木星フライバイ(近接通過)である「PJ68(Perijove 68)」が実施された2024年12月27日に取得されました。Junoミッションの主任研究員を務めるサウスウエスト研究所(SwRI)のScott Boltonさんは、PJ68でJunoが捉えたこのホットスポットについて「イオで観測された最も強力な火山活動だ」とコメントしています。
火山活動が起きている衛星として有名なイオ
![アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「Juno(ジュノー)」の可視光カメラ「JunoCam」で2023年12月30日に撮影された木星の衛星Io(イオ)(Credit: Image data: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; Image processing by Gerald Eichstädt)](https://sorae.info/wp-content/uploads/2025/02/2025-02-11-io-juno-nasa-.jpg)
イオは1610年にガリレオ・ガリレイが発見した木星の4つの衛星、いわゆる「ガリレオ衛星」の1つ。木星を42時間半で1周するイオは、木星や他の衛星との相互作用による潮汐加熱(※)を熱源とする火山活動が起きていることで有名です。
※…別の天体の重力がもたらす潮汐力によって天体の内部が変形し、加熱される現象のこと。
JPLによると、推定されるイオの火山の総数は400以上。噴火の様子はNASAの惑星探査機「ボイジャー(Voyager)」をはじめ、「Galileo(ガリレオ)」やJunoといった木星探査機や地上の大型望遠鏡によって観測されています。
![潮汐加熱を熱源とする火山活動が活発な木星の衛星Io(イオ)の内部を示したイラスト(Credit: NASA/Caltech-JPL/SwRI)](https://sorae.info/wp-content/uploads/2025/02/2025-02-11-io-interior-nasa-PIA26483.jpg)
まだ名前が付いていないこのエリアで起きた火山活動による変化は、Junoの可視光カメラ「JunoCam(ジュノーカム)」でも捉えられていました。
2024年4月の「PJ60」、2024年10月の「PJ66」、そして2024年12月の「PJ68」が行われた時にJunoCamで撮影されたイオの画像を比較してみると、PJ68の画像はイオから約7万4400km離れた場所で取得されたために解像度は低いものの、ホットスポットのあるエリア(矢印で示されている)がより暗い色合いに変色していることがわかります。
これまでにイオで最も激しい火山活動が観測されていた火山地形「Loki Patera(ロキ・パテラ)」の面積(約2万平方km)を大きく上回るこのエリアは、長期間にわたって痕跡を残す可能性があるとみられています。
![アメリカ航空宇宙局(NASA)の木星探査機「Juno(ジュノー)」の可視光カメラ「JunoCam」で撮影された木星の衛星Io(イオ)の比較。左から順に2024年4月9日のPJ60、2024年10月22日のPJ66、2024年12月27日のPJ68で撮影されたもの。矢印はJIRAMで観測されたホットスポットの位置を示す(Credit: Image data: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS; Image processing by Gerald Eichstädt)](https://sorae.info/wp-content/uploads/2025/02/2025-02-11-io-activity-juno-nasa-PIA26526.jpg)
Junoは2025年3月3日に予定されている「PJ70」で、イオのホットスポットを再び観測する予定です。Boltonさんは「新たな記録を打ち立てるような現象を目撃できるのは素晴らしいことですが、このホットスポットはそれ以上の価値を持つ可能性があります」「この興味深い地形は、イオの火山活動だけでなく、他の天体における火山活動をより深く理解するための手がかりにもなり得るのです」と期待を寄せています。太陽系最大の惑星である木星と、その衛星を観測し続けるJunoミッションからまだまだ目が離せません!
Source
- NASA/JPL - NASA Juno Mission Spots Most Powerful Volcanic Activity on Io to Date
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部