こちらは「しし座(獅子座)」の方向にある「Leo P(しし座P)」と呼ばれる銀河です。といっても、視野の中ではいくつもの銀河が輝きを放っています。Leo Pがどこにあるのか、わかりますか?
新たな星を生み出す矮小銀河「Leo P」
正解は画像の右下を占める、青い色の星々の集まりがLeo Pです。欧州宇宙機関(ESA)によると、Leo Pは矮小銀河に分類されていて、地球からは約500万光年離れています。矮小銀河は数千~数十億個の恒星が集まっている小規模な銀河の総称です。
約2000億個の恒星が存在すると言われている天の川銀河と比べてずっと小さなLeo Pは、新たな星を生み出している星形成銀河のひとつでもあります。ただし、その活動はずっと続いてきたわけではなく、最初の爆発的な星形成活動と現在観測されている星形成活動の間には、数十億年におよぶ休止期間があったと考えられています。
この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線カメラ(NIRCam)」で取得したデータを使って作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は主に赤外線の波長で観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています(※1)。
※1…ここでは900nmを青、1.5μmを緑、2.77μmを赤で着色。
画像ではLeo Pの星々が青く着色されているように思えますが、特にそのような処理はされていません。ESAによると、星形成銀河でよくみられる若くて重い星は主に青い色をしています。また、Leo Pは水素やヘリウムに対して金属(※2)が極端に少ない銀河であり、形成されるのも金属に乏しい星となりますが、そのような星は太陽よりも青い傾向があるといいます。こうした理由から、画像では背景の銀河と比べてLeo Pだけが青く見えているというわけです。
※2…天文学では水素とヘリウムよりも重い元素の総称として「金属」が用いられます。
冒頭の画像はESAが2025年1月17日付で紹介しています。
- 猛スピードで拡大中? ウェッブ宇宙望遠鏡が観測したウォルフ・ライエ星のリング(2025年1月24日)
- その正体は? 南米の望遠鏡が捉えた“ちょうこくしつ座”の淡い天体(2025年1月20日)
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文・編集/sorae編集部