地球観測衛星「NOAA-20」が2018年4月12日に撮影した画像をもとに作成された地球の姿(Credit: NOAA)

【▲地球観測衛星「NOAA-20」が2018年4月12日に撮影した画像をもとに作成された地球の姿(Credit: NOAA)】

こちらは2018年4月12日に撮影された地球の姿です。太陽同期軌道(極軌道の一種)を周回するアメリカの地球観測衛星「NOAA-20」が取得した複数の画像をもとに作成されました。

「地球の画像」と聞いてイメージするものと比べて、この画像は少し印象が違うかもしれません。中央に写る白い地域は氷に覆われた北極圏で、画像には北極を中心とした北半球が捉えられています。画像の中央から見て右にはアフリカ大陸アラビア半島が、左下には北アメリカ大陸が見えているのがわかりますでしょうか。この画像で示されているように、現在の地球の表面はその一部が氷床海氷に覆われています。

■表面に液体の水が存在しつつ一部が氷に覆われた惑星は少ない可能性

太陽系外惑星「ケプラー186f」の想像図。表面に液体の水が存在し、極域が氷床に覆われている様子を描いている(Credit: NASA Ames/SETI Institute/JPL-Caltech)

【▲太陽系外惑星「ケプラー186f」の想像図。表面に液体の水が存在し、極域が氷床に覆われている様子を描いている(Credit: NASA Ames/SETI Institute/JPL-Caltech)】

アメリカ航空宇宙局(NASA)のデータベースによると、これまでに人類が発見した太陽系外惑星の数は2021年12月13日時点で4884個に達しています。系外惑星のなかには表面に液体の水が存在する地球に似た環境を有する惑星や、生命が存在する惑星もあるのではないか。研究者はその可能性を求めて観測と研究を続けていますが、ワシントン大学天文学部の学部生Caitlyn Wilhelmさんを筆頭とする研究グループの発表によると、現在の地球のように液体の水が表面に存在しつつも一部が氷床に覆われた惑星は少ないかもしれないといいます。

Wilhelmさんたちは今回、サイズ・質量・大気組成・表面の様子が現在の地球に似ていて、太陽に似た恒星(太陽と同じG型星、太陽よりも少し大きく高温のF型星、太陽よりも少し小さく低温のK型星)を公転する惑星の気候を推定するために、20万通り以上のシミュレーションを行いました。

研究グループによるシミュレーションは、惑星の公転軌道の形状(整った円形から離心率の大きな楕円形まで)や自転軸の傾き(0度から90度まで。地球は23.5度)を変えつつ、100万年のスパンで繰り返されました。たとえば、公転軌道が真円の場合は降り注ぐ恒星のエネルギーが年中一定ですが、軌道の形がつぶれた楕円形の場合は惑星が恒星に近づいたり遠ざかったりするので、恒星から届くエネルギーは一年を通して増減します。また、自転軸が天王星のように横倒しになっている場合は、気候に極端な季節変化がもたらされます。

研究グループによると、シミュレートされた仮想の惑星では表面全体が凍りつく全球凍結から湿度の高い温室のような状態まで、様々な気候が示されたといいます。大半の惑星の気候はそこまで極端ではなく、ある程度落ち着いた状態になったものの、表面に液体の水が存在するケースのうち地球の極域のように表面の一部が氷床に覆われたのは10パーセント程度に限られたといいます。


研究に参加したワシントン大学教授のRory Barnesさんによると、シミュレートされた惑星の表面に氷が存在する場合、極域を覆う「氷冠」よりも赤道域を帯状に覆う恒久的な氷「Ice Belt(氷帯)」が現れる可能性のほうが高かったようです。

■恒星の種類や自転軸の傾き具合が氷に覆われる場所を左右する可能性も

全球凍結した頃の地球を描いた想像図(Credit: NASA)

【▲全球凍結した頃の地球を描いた想像図(Credit: NASA)】

前述のシミュレーションは惑星の軌道が変化しないものとして行われましたが、次に研究グループは他の惑星の重力がもたらす影響も考慮して、惑星の軌道が時間とともに変化する場合を想定したシミュレーションも行いました。

地球では、軌道の形状(離心率)・自転軸の傾斜角・自転軸の歳差運動が関わる軌道要素の周期的な変化が「ミランコビッチ・サイクル」として知られています。研究に参加したベルン大学のRussell Deitrickさんによると、系外惑星では地球のミランコビッチ・サイクルよりも大きな変化がもたらされる可能性があり、軌道要素の変化によって表面の氷がすべてなくなったり、反対に表面全体が氷に覆われたりすることも考えられるといいます。

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研究グループによると、軌道要素の変化を考慮した新たなシミュレーションでは、恒星の種類によって惑星表面の氷の分布に違いがみられたといいます。表面の一部が氷に覆われたケースのうち、惑星が太陽よりも大きなF型星を公転する場合、「氷帯」と比べて「氷冠」のほうが約3倍高い頻度で現れたといいます。いっぽう、表面の一部が氷に覆われていても、惑星が太陽と同じG型星や太陽よりも小さなK型星を公転する場合は、「氷冠」よりも「氷帯」のほうが約2倍高い頻度で現れたようです。

またWilhelmさんによると、自転軸の傾斜角が大きな惑星では赤道域を覆う「氷帯」のほうが現れやすい傾向がみられたといいます。自転軸の傾斜が大きく横倒しになっているような惑星では、極端な季節変化によって赤道域よりも極域の気候のほうが不安定になることがその理由ではないかと考えられています。

研究に参加したBarnesさんは、どのような気候の惑星が存在する可能性があり、どのような惑星が一般的か、あるいはそうでないかを示した今回の研究成果が、系外惑星の大気に生命の兆候を探したり、系外惑星の直接撮影を試みたりする将来の観測の礎となることに期待を寄せています。

 

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Image Credit: NOAA
Source: ワシントン大学
文/松村武宏

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