3月20日は2021年の春分の日でした。太陽が春分点を通過する瞬間である春分は、地球だけでなく他の惑星にもあります。2021年2月には火星が春分を迎えており、地球よりも約1.88倍長い火星の新たな1年が始まっています

こちらは土星探査機「カッシーニ(Cassini)」2009年8月12日に撮影した土星で、この前日に土星は春分を迎えています。撮影時のカッシーニは環の平面に対して約20度上方、土星からは約84万7000km離れたところを飛行しており、画像はカッシーニの広角カメラによって撮影された75枚の画像をもとに作成されました。

土星探査機「カッシーニ」が撮影した2009年8月12日の土星(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)

土星探査機「カッシーニ」が撮影した2009年8月12日の土星(Credit: NASA/JPL/Space Science Institute)

春分や秋分の頃は太陽が赤道の上にあるため、土星最大の特徴である環は真横から太陽に照らされることになります。そのため、画像では土星に落ちる環の影が黒い一本の線のように細くなっていることがわかります。およそ30年かけて太陽を1周する土星ではこのような時期が約15年ごと(春分と秋分を迎えるタイミング)に訪れ、地球からは土星の環が消えたように見えます。

また、真横から照らされる春分や秋分の頃の環はとても暗くなります。上の画像の環は他の季節に撮影されたものと比べてかなり暗く感じられますが、実は明るく見えるように補正されています。アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、画像を作成する際に環全体の明るさを20倍に補正した上で、夜側(右)はさらに3倍明るくなるように調整(つまり夜側の環の明るさは本来の60倍)されているとのことです。

なお、2009年の春分から11年半ほどが経った現在の土星は北半球が夏から秋に移り変わりつつあり、北極域や赤道域の変化が「ハッブル」宇宙望遠鏡によって観測されています。

NASAゴダード宇宙飛行センターのAmy Simon氏によると、土星の赤道域は2018年から2020年にかけて5~10パーセント明るくなり、風速は2018年が時速約1600kmと速く、2019年と2020年はカッシーニの観測時と同程度の時速約1300kmに戻ったといいます。風速は高度によって異なることから、2018年の風速が速かったのは雲の高度が60kmほど低かったことを示唆する可能性が指摘されています。

「ハッブル」宇宙望遠鏡が撮影した2018年、2019年、2020年の土星を連続で示した画像。環の傾きが少しずつ変化していることがわかる(Credit: NASA/ESA/STScI/A. Simon/R. Roth)

「ハッブル」宇宙望遠鏡が撮影した2018年、2019年、2020年の土星を連続で示した画像。環の傾きが少しずつ変化していることがわかる(Credit: NASA/ESA/STScI/A. Simon/R. Roth)

 

関連:土星に近づく大迫力の動画。CGじゃなくカッシーニが見た本物の映像

Image Credit: NASA/JPL/Space Science Institute
Source: NASA (1) / NASA (2)
文/松村武宏

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