太陽に一番近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」では、「プロキシマ・ケンタウリb」および「プロキシマ・ケンタウリc」という2つの太陽系外惑星が報告されています。このうちプロキシマ・ケンタウリbを最新の観測装置を使って従来以上の精度で再観測したとする研究成果が発表されています。

■発見当時の4倍の精度、内側に別の系外惑星が存在する可能性も示される

赤色矮星プロキシマ・ケンタウリを周回するプロキシマ・ケンタウリb(左)を描いた想像図(Credit: Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC))

Alejandro Suárez Mascareño氏(IAC:カナリア天体物理学研究所)らの研究チームは、ヨーロッパ南天天文台(ESO)の「超大型望遠鏡(VLT)」に設置されている分光観測装置「ESPRESSO」を使い、2019年にプロキシマ・ケンタウリbの再観測を実施しました。研究チームによると、今回の独立した観測によるデータを分析した結果、2016年に発見が報告されたプロキシマ・ケンタウリbの存在を再確認することができたといいます。ESPRESSOの観測データから、プロキシマ・ケンタウリbの公転周期はおよそ11.218日、質量は最低でも地球のおよそ1.29倍と算出されています。

ESPRESSOは、惑星の公転にともない主星がわずかにふらつくように観測される様子を捉える「視線速度法」(ドップラー分光法とも)を利用して系外惑星を検出します。IACの発表では、太陽に似た恒星の周囲にある地球のような系外惑星を発見するために開発されたESPRESSOの精度は、プロキシマ・ケンタウリbの発見につながった当時の観測で用いられた「HARPS」の4倍とされています。

また、特定されるには至っていませんが、今回のESPRESSOを用いた観測において、5.15日の公転周期でプロキシマ・ケンタウリを周回する未発見の系外惑星が検出された可能性があります。仮に系外惑星だった場合その質量は最低でも地球のおよそ0.29倍と算出されており、プロキシマ・ケンタウリbよりも内側を公転する新たな系外惑星の発見につながるかもしれません。

研究を主導したMascareño氏は「プロキシマ・ケンタウリbは地球に似ていて、ハビタブルゾーンにあり、太陽系に近いことから注目されていて、IACも参加している欧州超大型望遠鏡(ELT)など次世代の望遠鏡による観測候補のひとつとなっています。プロキシマ・ケンタウリbの存在を確認することは重要なことでした」とコメントしています。

 

Image Credit: Gabriel Pérez Díaz, SMM (IAC)
Source: IAC
文/松村武宏

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