ここ四半世紀で数千個が見つかっている太陽系外惑星。その一部は2つの恒星からなる連星の周囲で発見されています。映画「スター・ウォーズ」シリーズの舞台のひとつ、双子の太陽を持つ「タトゥイーン」にも例えられるこうした系外惑星は、大きく傾いた軌道に形成される場合があることを示した研究成果が公開されています。

■連星の公転周期が長いと「周連星円盤」は傾きやすいことが判明

連星の公転軌道に対して傾いて周回する惑星の日没を描いた想像図。空に描かれた楕円形は連星の公転軌道を示している(Credit: NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello.)

若い恒星の周囲にはガスや塵でできた円盤「原始惑星系円盤」が存在し、ここから惑星が形成されると考えられています。こうした円盤は連星でも観測されており、2つの恒星をドーナツ状に大きく取り囲むものは「周連星円盤」とも呼ばれます。

Ian Czekala氏(カリフォルニア大学バークレー校)らの研究チームは、チリの「アルマ望遠鏡」によって得られた周連星円盤の観測データと、NASAの宇宙望遠鏡「ケプラー」によって得られた連星を周回する系外惑星の観測データを分析・比較しました。その結果、連星を成す主星と伴星の公転周期が30日以下の場合は周連星円盤の傾きが連星の公転軌道とほぼ揃うものの、連星の公転周期が30日を超えてくると周連星円盤の傾きが連星の公転軌道と一致せず、大きく傾きやすいことがわかったといいます。

たとえば連星の公転周期が13.6日の「さそり座AK星(AK Sco)」の場合、連星の公転軌道に対する周連星円盤の傾きは2.7度以下で、連星とほぼ揃っています。ところが連星の公転周期が315日と長い「HD 98800 B」では周連星円盤の傾きが89~95度と、ほとんど垂直に達しています。

このような周連星円盤より形成された惑星から空を見上げると、さそり座AK星のように公転周期の短い連星では、「1年(惑星が軌道を1回公転するのに要する期間)」を通して主星と伴星がひんぱんに重なって見える可能性が高くなります。いっぽう公転周期の長いHD 98800 Bのような連星の場合、惑星の軌道が大きく傾いているために主星と伴星が重なって見える時期は「1年」のうち2度ほどの短い期間に限られますし、重なって見えるかどうかは連星が公転するタイミングにも左右されるので、ほとんどの期間は主星と伴星の間隔が広がったり狭まったりして見える空のもとで過ごすことになります。

Czekala氏は今後、連星の公転周期と周連星円盤の傾きのあいだになぜこのような関係があるのか、その謎を解き明かすために引き続き研究を進めていきたいとコメントしています。

アルマ望遠鏡によって観測された、HD 98800 B(左)とさそり座AK星(右)の周囲にある周連星円盤(オレンジ色)。円盤内部と左下に示されているのは連星とその軌道(Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), I. Czekala and G. Kennedy; NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello.)

 

Image Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), I. Czekala and G. Kennedy; NRAO/AUI/NSF, S. Dagnello.
Source: ALMA
文/松村武宏

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