太陽のような恒星はやがて巨大な赤色巨星になってガスを放出し、自ら核融合はしない白色矮星に進化すると考えられています。今回、平均的な質量の2倍近い重さを持つ白色矮星が、2つの白色矮星の合体によって誕生したとする研究成果が発表されました。

■合体はおよそ13億年前と推定、地球の3分の2サイズで太陽よりも重い

白色矮星どうしの合体を描いた想像図(Credit: University of Warwick/Mark Garlick)

Mark Hollands氏(ウォーリック大学、イギリス)らの研究チームが観測したのは、「ぎょしゃ座」の方向およそ150光年先にある白色矮星「WDJ0551+4135」です。白色矮星の平均的な質量は太陽の約0.6倍ですが、WDJ0551+4135の質量は平均のほぼ2倍となる太陽の約1.14倍。太陽よりも重いのに、直径は地球の3分の2ほどしかありません。観測データを分析した結果、この重い白色矮星はおよそ13億年前に2つの白色矮星が合体したことで誕生したとみられています。

研究チームは、カナリア諸島にある天体望遠鏡「ウィリアム・ハーシェル望遠鏡」と、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」による観測データを分析に使用しました。ウィリアム・ハーシェル望遠鏡による観測では、WDJ0551+4135が水素に炭素が混じった大気を持っていることが判明しています。進化が通常通りに進んだ白色矮星では、水素とヘリウム、あるいはヘリウムに炭素が混じった大気が観測されることはあるものの、白色矮星の内部に存在していてヘリウムの層に覆われているはずの炭素と、表層にある水素の組み合わせを見つけることになるとはまず予想しないとHollands氏は語ります。

いっぽう、ガイアの観測データからは、WDJ0551+4135がその温度から推定される年齢にしては高速で天の川銀河を周回していることもわかりました。若い星よりも古い星のほうがより高速で銀河を周回していることから、WDJ0551+4135の運動速度は見た目(温度)と実年齢が食い違っていることを示唆しており、過去に温度が上昇するような現象を経験した可能性があるとみられています。「WDJ0551+4135が白色矮星どうしの合体によって誕生した」とする結論は、こうした観測結果をもとに導き出されました。

■白色矮星どうしの合体でできた白色矮星はめずらしい

ウォーリック大学の発表によると、白色矮星どうしの合体は予想の範囲内ではあるものの、めずらしい現象のようです。たとえば、合体してWDJ0551+4135になる前の星はどちらも同じくらいの質量だったと考えられていますが、合体の多くは異なる質量の天体のあいだで起きる現象とされています。質量が違えば進化後の姿や進化の速度がそれぞれ異なるため、ペアの重さが異なる連星では白色矮星どうしが合体するとは限りません。

また、白色矮星には「太陽の約1.4倍」という限界の質量(チャンドラセカール限界質量)があり、合体後の質量がこの値を超える場合は超新星爆発に至るとされています。限界に近い質量のWDJ0551+4135は、白色矮星の質量の上限を示す一例と言えそうです。

 

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Image Credit: University of Warwick/Mark Garlick
Source: ウォーリック大学
文/松村武宏

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