2つの恒星から成る連星「TOI 1338」(奥)と、連星を周回する系外惑星「TOI 1338 b」(左手前)の想像図(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Chris Smith (USRA))

昨年の7月に南天全域の観測を終え、北天の観測を行っているNASAの系外惑星探査衛星「TESS」。先日もその観測データから地球サイズの太陽系外惑星が見つかったことをお伝えしましたが、今度は2つの恒星を周回する系外惑星(周連星惑星)が見つかったとの研究成果が発表されています。

■明るさが変わる食連星の観測データから系外惑星の証拠を発見

系外惑星TOI 1338 bの想像図(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Chris Smith (USRA))

連星を公転する系外惑星が見つかったのは、南天の「がか座」の方向およそ1300光年先にある連星系「TOI 1338」です。TOI 1338には太陽の「1.1倍」と「3分の1」の質量を持つ2つの恒星があり、約15日周期で互いの周りを巡り合っています。

今回TESSの観測データから発見された系外惑星「TOI 1338 b」は、土星と海王星の中間くらいの大きさとなる、地球のおよそ7倍のサイズを持っています。その軌道は連星の影響を受けており、公転周期は93日から95日の間で変動しています。

TOI 1338には、当初は系外惑星が存在しないとみられていました。TESSの観測データから系外惑星を探す市民科学プロジェクト「Planet Hunters TESS」でも、TOI 1338の明るさの変化は「食連星」(※)に分類されていたといいます。

※…互いに周回し合う恒星どうしが重なり合って見えることで、周期的に明るさが変化する連星のこと。食変光星とも。

しかし昨年、NASA・ゴダード宇宙飛行センターのインターンシップに参加していたWolf Cukier氏が食連星に分類されていたTESSの観測データを確認していたところ、TOI 1338の明るさが変わるタイミングに、食連星に由来するものとは異なるパターンを発見。Veselin Kostov氏(ゴダード宇宙飛行センター)らの研究チームがデータを詳細に分析した結果、このパターンが観測機器の異常等によるものではなく、TOI 1338 bが大きいほうの恒星を横切った際に観測されたパターンであることが確認されました。

■人間の目でチェックしたからこその発見

食連星としての明るさ変化のパターン(赤)と、TOI 1338 bのトランジットによる明るさ変化のパターン(緑)を示した図。NASAが公開した動画より引用(Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center/Chris Smith (USRA))

TESSは系外惑星が恒星の手前を横切るトランジット現象を起こしたときのわずかな明るさの変化をキャッチする方法を利用しています。ところが食連星の場合、小さいほうの恒星が大きいほうの恒星を横切るときにも、同じように明るさがわずかに暗くなります。

また、TOI 1338 bが大きいほうの恒星を横切ったときの明るさの変化はTESSによって検出されましたが、小さいほうの恒星を横切った際の変化はごくわずかであるためにキャッチできませんでした。そのため、TOI 1338では「系外惑星による明るさの変化」が「食連星としての明るさの変化」に紛れ込むような形で観測されたことになります。

Kostov氏は、TOI 1338で観測されたような明るさの変化のパターンから自動的に系外惑星を発見するのは、まだまだ難しいとしています。「非周期的なパターンを見つけるのが得意な人間の目」(Kostov氏)で観測データを複数回チェックしたことが、今回の発見につながったと言えます。

2018年に観測を終えた宇宙望遠鏡「ケプラー」は、10の連星系から合計12個の周連星惑星を発見しました。TESSによって見つかった周連星惑星はTOI 1338 bが初めてですが、全天を対象としたTESSのミッションでは、数十万の食連星が観測対象に含まれるとされています。

映画「スター・ウォーズ」シリーズの舞台のひとつである双子の太陽を持つ惑星「タトゥイーン」に例えられる周連星惑星は、今後さらに発見例が相次ぐかもしれません。

 

Image Credit: NASA’s Goddard Space Flight Center
Source: NASA
文/松村武宏

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