インド宇宙研究機関(ISRO)は7月20日、開発中の新型ロケット「GLSV Mk-III」の第3段に使われるロケット・エンジン「CE-20」の、実際の飛行時間を超える、800秒間にもおよぶ長時間の燃焼試験に成功したと発表した。
発表によると、試験は7月16日に行われたという。実際の打ち上げでは、CE-20は約635秒燃焼することになっており、今回の試験はそれよりも約25%長いものだった。試験は成功し、予定していたデータはすべて得られたという。
CE-20は、ISROの新型ロケットGSLV Mk-IIIロケットの第3段「C25」に装備されるロケット・エンジンである。エンジン・サイクルはガス・ジェネレータ方式を採用しており、推進剤には液体酸素と液体水素を使う。数年前から開発が行われており、今年から燃焼試験が始まり、4月28日には実際の飛行時間と同じ635秒間の燃焼試験にも成功している。
今後は、実際の飛行環境に似た、高真空状態を作り出せる試験台での燃焼試験や、実際の飛行に使われる第3段機体と組み合わせた状態での試験などが予定されているという。
液体水素はマイナス250度C以下と非常に温度が低いため取り扱いが難しく、また密度も低いため、燃料タンクが大きく、重くなってしまうという欠点もある。しかし、この組み合わせは非常に高い性能が出せることから、大型ロケットを持つほぼすべての国が開発し、実用化している。
インドが現在運用しているGSLV Mk-I、IIでは、当初はロシア製の液体酸素/液体水素エンジンが使われていたが、その後国産の液体酸素/液体水素エンジン「CE-7.5」の開発が始まり、2010年に最初の打ち上げが行われた。しかし、まさにその国産エンジンが問題を起こし失敗、改良を重ね、2014年1月5日の2回目の打ち上げで初めて成功した。開発中のCE-20は、このCE-7.5の開発で得られた技術が投入されている。
GSLV Mk-IIIは地球低軌道に8000kg、静止トランスファー軌道に4000kgの打ち上げ能力を持つ、インドにとって最も強力なロケットである。主に、商業衛星や惑星探査機、そして有人宇宙船の打ち上げに使うことが計画されている。
1号機は2014年12月18日に打ち上げに成功しているが、第3段がまだ完成していなかったため、ダミー(模造品)が搭載されていた。ただし質量や重心位置などを実機と合わせるため、タンク内に液体窒素が充填されていた。
今のところ、実機の第3段を搭載した「完成形」のGSLV Mk-IIIの打ち上げは、2016年から2017年ごろに予定されている。
■Indigenously Developed High Thrust Cryogenic Rocket Engine Successfully Ground Tested for a duration for 800 seconds - ISRO
http://www.isro.gov.in/update/20-jul-2015/indigenously-developed-high-thrust-cryogenic-rocket-engine-successfully-ground