
日本企業の株式会社アストロスケールは2025年4月9日、アメリカの子会社Astroscale U.S.がDoD=アメリカ国防総省の人工衛星に対する推進剤補給ミッションを行う予定であると発表しました。ミッションを遂行する衛星は2026年夏に打ち上げられる予定です。
アメリカ宇宙軍の衛星に推進剤補給を2回実施予定
発表によると、このミッションでは「Astroscale U.S. Refueler」または「APS-R(Astroscale Prototype Servicer for Refueling)」と呼ばれるAstroscale U.S.の衛星が、USSF=アメリカ宇宙軍の静止軌道上の衛星に推進剤(発表では「ヒドラジン燃料」)を2回補給します。APS-Rは重量300kgで、再充填可能な推進剤タンクを搭載。本体となる衛星バスはアメリカのSwRI=サウスウエスト研究所が開発し、アメリカ企業Orbit Fabの推進剤補給インターフェイスが採用されています。
従来の人工衛星は機能的に問題がないとしても、打ち上げ時に充填されていた推進剤が尽きれば運用を終えざるを得ませんでした。そこで近年では、衛星の寿命を延長するサービスの提供が一部で始まっています。
アメリカ企業Northrop Grummanの子会社SpaceLogisticsは寿命延長サービス用の衛星「MEV(Mission Extension Vehicle)」を2機運用しており、2020年2月と2021年4月にIntelsatの通信衛星とドッキングすることに成功しています。MEVはクライアントの衛星に推進力を提供する“外付けエンジン”の役割を担っていて、推進剤の補給は行いません。
一方、APS-Rはクライアントの衛星に推進剤を補給する“給油車”の役割を担っており、クライアントの衛星自身のエンジンが引き続き用いられるという違いがあります。アストロスケールはAPS-Rについて「成長する民間宇宙エコシステムの一部として、ダイナミックな運用とミッション計画、レジリエンス、応答性を可能にします」と述べています。
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文・編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- アストロスケール - アストロスケールUS、米国宇宙軍資産への初の燃料補給を主導
- Astroscale U.S. - Astroscale U.S. to Lead the First-Ever Refueling of a United States Space Force Asset
- Astroscale U.S. - New Details on the Revolutionary Astroscale U.S. In-Space Refueler for the United States Space Force