ヴァージン・オービットは日本時間5月26日朝、カリフォルニア州沖合の太平洋上にて空中発射ロケット「ランチャーワン(LauncherOne)」の打ち上げ試験を実施しました。母機から投下されたランチャーワンは1段目エンジンの点火に成功したものの間もなく異常が発生し、試験は早い段階で終了。母機とその乗員に異常はなく、無事に地上へと帰還しています。
ランチャーワンは2段式の小型ロケットです。ヴァージン・オービットの資料によると、高度500kmの太陽同期軌道へ300kgまでの衛星を、または高度230kmの低軌道へ500kgまでの衛星を投入する能力を備えています。打ち上げ時には空中発射用の母機として改修されたボーイング747-400「コズミック・ガール(Cosmic Girl)」の左翼に吊り下げられた状態で高度1万m付近まで運ばれ、空中で投下された数秒後にエンジンを点火、衛星を宇宙空間へと運ぶ計画です。
今回はランチャーワン初の打ち上げで、1段目のエンジン「NewtonThree」が空中で点火されたのも初めて。ヴァージン・オービットCEOのダン・ハート氏はリリースにおいて「多くの目標を達成したが、望んだほどではなかった。それでも今日、我々は大きな一歩を踏み出した」と語っており、次の打ち上げ試験の実施へ向けて準備を進めるとしています。
また、母機からの投下に成功しつつもミッションが早期に終了したことを伝えた同社のツイートには、トリー・ブルーノ氏(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)、イーロン・マスク氏(スペースX)、ピーター・ベック氏(ロケットラボ)ら民間宇宙企業の「先輩」といえる人々から、「打ち上げは本当に難しい」「残念でならない」「くじけるな」といった、開発時の苦労をにじませる言葉や励ましの言葉などが寄せられています。
Sorry to hear that. Orbit is hard. Took us four attempts with Falcon 1.
— Elon Musk (@elonmusk) May 25, 2020
▲「残念でならない」と綴ったイーロン・マスク氏のツイート▲
なお、ヴァージン・オービットはANAホールディングスやスペースポートジャパンの協力のもと、大分県と提携して大分空港を宇宙港(スペースポート)に選定し、ランチャーワンの打ち上げに用いる計画であることが明らかにされています。
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Image Credit: Virgin Orbit
Source: Virgin Orbit
文/松村武宏