
(引用元:IAU)
こちらは、NASAの探査機「ニュー・ホライズンズ(New Horizons)」が2015年7月14日の冥王星への最接近時に取得したデータをもとに、色彩を強調して作成された冥王星の画像です。

ニュー・ホライズンズは2006年1月19日、アメリカのケープカナベラル空軍基地(現在のケープカナベラル宇宙軍基地)から「アトラスV(Atlas V 551)」ロケットで打ち上げられました。ニュー・ホライズンズは、木星の重力を利用して速度や進行方向を変える「重力アシスト」を実施しました。冥王星へ向かう飛行中は、搭載機器の消耗を抑えるため、長期間にわたって休眠モードで運用されました。
打ち上げから約9年半後の2015年7月14日、ニュー・ホライズンズは、地球から約48億km離れた冥王星へ最接近しました。史上初となる冥王星の近接観測を行い、ハート形をした明るい地域(後に「トンボー地域」と命名)をはじめ、窒素の氷でできた氷河や水の氷でできた山地、数多くのクレーターが残る古い地形などを鮮明に捉えました。
冥王星の分類変更から生まれた「plutoed」
ニュー・ホライズンズが冥王星へ最接近する約9年前の2006年8月24日、チェコのプラハで開かれたIAU(国際天文学連合)の総会で、太陽系における「惑星」の定義が採択されました。
惑星と認められるには、太陽を公転していること、自らの重力によってほぼ球形になっていること、軌道周辺の天体を取り込んだり別の軌道へ移動させたりして、その領域で重力的に支配的な天体になっていることの3つの条件を満たす必要があります。冥王星は太陽を公転しており、ほぼ球形でもあります。しかし、軌道周辺には他のカイパーベルト天体が数多く存在しており、3つ目の条件を満たしていないとされました。そのため、新たに設けられた「準惑星(dwarf planet)」に分類され、太陽系第9惑星ではなくなったのです。
この分類変更の影響は、天文学の外にも広がりました。2007年1月、アメリカ方言学会(American Dialect Society)は「plutoed」を2006年の「ワード・オブ・ザ・イヤー(Word of the Year)」に選出しました。「plutoed」は当時、冥王星の分類変更になぞらえ、人や物が「降格させられた」「価値を引き下げられた」といった意味で使われた新語です。
冥王星は再び惑星に分類されるのか
冥王星が準惑星に分類されてから20年を迎えた2026年にも、冥王星を惑星とするかどうかを巡る議論は続いています。同年4月28日、NASAのジャレッド・アイザックマン長官は、米上院歳出委員会の小委員会公聴会で、冥王星を再び惑星に戻すべきだとの考えを示しました。
アイザックマン長官は、NASAが冥王星の分類を再検討する議論を科学界で進めるため、複数の科学論文に取り組んでいるとも説明しました。ただし、論文の詳しい内容や公表時期は明らかにされていません。
また、NASA長官の発言だけで、IAUによる冥王星の分類が変更されるわけではありません。冥王星が再び惑星に分類される日は訪れるのでしょうか。分類変更から20年を経て、今後の議論の行方が注目されます。
編集/sorae編集部
関連記事
参考文献・出典
- NASA - New Horizons
- NASA - Pluto Dazzles in False Color
- NASA - New Horizons Discovers Flowing Ices on Pluto
- IAU - IAU 2006 General Assembly: Result of the IAU Resolution votes
- American Dialect Society - “Plutoed” Voted 2006 Word of the Year
- U.S. Senate Committee on Appropriations - NASA FY2027 Budget Hearing
- Scientific American - NASA chief Jared Isaacman hints at campaign to make Pluto a planet again
























