
(引用元:NASA)
平坦な地表に転がる違和感のある岩
アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開している「Mars Perseverance Raw Images」では、火星探査車「Perseverance」が撮影したRAW画像を日々更新しています。今回ご紹介するのは、Perseveranceのミッション第233週にあたる2025年7月27日に、マストにある右のナビゲーションカメラで撮影された1枚です。
※…2025年7月27日はPerseveranceのミッション1576ソル目にあたります。1ソル(Sol)は火星の1太陽日を指し、地球時間で約24時間40分に相当します。
- Image Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU
- NASA - Mars Perseverance Sol 1576: Right Navigation Camera (Navcam)
この画像の中央付近には、まるでどこかから投げ込まれたかのような岩が数個散らばっています。地表は風化した砂粒で覆われており、崩落した母岩由来の転石とは考えにくいです。
では、これらの岩はどこから来たのでしょうか?
火星は地球より大気がはるかに薄いため、小さな隕石でも地表に到達しやすく、年間およそ280〜360件の新しい衝突クレーターが形成されていると推定されています。こうした衝突で砕けた岩塊が数km以上も飛散し、このような平坦な地形に“落石”として残った可能性が高いと考えられます。
一見静まり返った世界に見える火星でも、突発的な衝突リスクが日常的に存在しているのかもしれません。
火星探査車Perseveranceとは
Perseveranceは、NASAが2020年に火星に送った探査車で、火星の地質や気候の調査、古代生命の痕跡の探索、将来の有人火星探査に向けた技術実証を目的としています。

ナビゲーションカメラについて
ナビゲーションカメラ(Navcam)は、Perseveranceのマストに搭載されている2つのカメラ「Mastcam-Z」の両隣に配置された、走行を補助するためのカメラです。Perseveranceが火星の表面を安全に走行できるよう、進行方向を決めたり周囲の地形を把握したりする際などに利用されます。
編集/sorae編集部
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