
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
今回紹介するのは、ESA=欧州宇宙機関の火星探査機「マーズ・エクスプレス(Mars Express)」が捉えた、火星北部にある「コロリョフ・クレーター(Korolev Crater)」です。赤茶けた大地の中央に、白い堆積物が見えますが、これは雪ではなく水の氷です。クレーター内側には「恒常的に安定して存在する氷床」が広がっているのです。
- Image Credit: ESA/DLR/FU Berlin
- sorae - 火星を上空から眺める再現動画!氷床に一年中覆われているクレーター

直径約82kmのコロリョフ・クレーターは、火星の北極冠(北極の氷)のすぐ南側に位置しており、周辺には「オリンピア・ウンダエ(Olympia Undae)」と名付けられた砂丘地帯も広がっています。このクレーターは、縁(リム)から底まで、約2kmの高低差があり、その窪地の中心部に、最大で厚さ約1.8kmにもなるドーム状の氷があるとされています。
この氷が安定して残っているのは、クレーターの構造が作用する「コールドトラップ(冷気の罠)」によるものです。氷の上を流れる空気は冷やされて重くなり、冷たい空気が“ふた”のように居座ることで、氷が温まりにくく(昇華しにくく)なります。空気は熱を伝えにくいことも、この保護効果を強めます。
以下の動画は、マーズ・エクスプレスが撮影した画像をもとに作成された、コロリョフ・クレーターの上空からの眺めを再現した動画です。マーズ・エクスプレスに搭載されている「高解像度ステレオカメラ(HRSC)」によって火星の周回軌道上から撮影されたデータが用いられています。
動画は、コロリョフ・クレーターへ接近するシーンから始まり、クレーターの縁に沿って斜め下を見下ろすように周回しながら進みます。そして最後は高度を上げ、クレーター全体を見渡せる視点へ移ったところで締めくくられます。平らに広がる内部の氷床が縁の近くでは斜面状になっていることや、周囲の赤茶けた地形の中でクレーター内部だけが大量の水の氷に覆われ、遠目にも白く際立つ様子がよく分かります。
赤いイメージのある火星の大地に、クレーターの中だけ白い氷が“円盤”のように残る…その鮮やかな対比だけでも、思わず見入ってしまいますね。
なお、クレーター名の「コロリョフ」は、旧ソ連のロケット技術を率いた技術者、セルゲイ・コロリョフ(Sergei P. Korolev)に由来しています。
編集/sorae編集部
























