
(引用元:ESA/Hubble)
今回紹介するのは、ハッブル宇宙望遠鏡の掃天観測用高性能カメラ(ACS)が撮影した、みなみのうお座の一等星「フォーマルハウト」の周囲に広がる塵(ダスト)のリングを捉えた画像です。中央のフォーマルハウト本体の光はコロナグラフで遮られており、リングが斜めに傾いた姿で浮かび上がっています。

フォーマルハウトは地球から約25光年の距離にある、数億年程度の比較的若い恒星です。その周囲に塵のリング(デブリ円盤)が存在すること自体は、1983年にNASAの赤外線天文衛星「IRAS」の観測で発見されていました。しかし可視光で直接その姿が撮影されたのは、2004年にハッブル宇宙望遠鏡のACSコロナグラフで観測されたこの画像が初めてです。
この画像で注目されたのは、リングの中心がフォーマルハウトの位置から約15天文単位(太陽から地球までの距離の約15倍)もずれていたことでした。リングの内縁が鋭く、幅が約25天文単位と比較的狭いことも合わせて、惑星質量の天体がリングの構造形成に関与している可能性が指摘されました。研究チームはこの構造を太陽系の「カイパーベルト」に例えており、フォーマルハウトのリングはそれよりも大きな構造だと報告しています。
この発見をきっかけに、2008年にはリング付近で見つかった光点が系外惑星「フォーマルハウトb」として報告されました。ところがこの光点は2014年までに消失し、2020年には直径200km程度の微惑星どうしの衝突で生じた塵の雲だったとする研究成果が発表されています。さらに2023年にはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がデブリ円盤の全体像を赤外線で観測し、複数のリングが入れ子状に重なる構造を明らかにしました。2025年12月にはハッブル宇宙望遠鏡が新たな塵の雲を発見するなど、フォーマルハウトのデブリ円盤は長年にわたって研究が続けられています。
編集/sorae編集部
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参考文献・出典
- ESA/Hubble - Debris Ring Around a Star: Unannotated
- Kalas et al. "Fomalhaut's Debris Disk and Planet: Constraining the Mass of Fomalhaut b from Disk Morphology" (Nature, 2005)
- Gáspár & Rieke "New HST data and modeling reveal a massive planetesimal collision around Fomalhaut" (PNAS, 2020)










