4000個以上が見つかっている太陽系外惑星のほとんどは、系外惑星が主星の手前を横切ったときの明るさの変化や、主星の周期的なふらつきといった間接的な観測データをもとに発見されています。そんな系外惑星のなかでも直接撮影された数少ない例として知られていた「フォーマルハウトb」が、実際には存在していなかった可能性が示されています。

■2つの小天体が衝突してできた塵の雲だったとみられる

フォーマルハウト(左奥)の周辺で起きた微惑星どうしの衝突(右手前)を描いた想像図。今回の研究では、フォーマルハウトbとされていたのは衝突で生じた塵の雲だったとみている(Credit: ESA/NASA, M. Kornmesser)

地球からおよそ25光年先にある「みなみのうお座」の一等星「フォーマルハウト」を周回するとされるフォーマルハウトbは、「ハッブル」宇宙望遠鏡が撮影した2004年と2006年の画像から見つかった系外惑星として、2008年に報告されていました。

今回、András Gáspár氏George Rieke氏(アリゾナ大学および同大学スチュワード天文台)は、ハッブルが撮影したのは2つの小さな天体が衝突した結果生じた塵の雲であり、これまでフォーマルハウトbとされてきた系外惑星は存在しなかったとする研究成果を発表しました。

2008年の報告当初、フォーマルハウトbの質量は最大で木星の3倍程度とみられていましたが、その後の赤外線による観測ではそれらしき天体が確認されませんでした。フォーマルハウトを取り囲む塵の環を乱すような影響も与えていないとみられることから、フォーマルハウトbの大きさは地球の数倍以下に留まるか、実際には惑星ではない可能性もあることがすでに指摘されていました。

Gáspár氏によると、2014年にハッブルが撮影した画像ではフォーマルハウトbの姿が確認できなかったといいます。フォーマルハウトbが消滅してしまったように見える理由を探るべく両氏がシミュレーションを行ったところ、フォーマルハウトbの正体は直径200kmほどの2つの小天体が衝突・破壊したことでできた塵の雲で、時間とともに拡散したため画像に写らなくなった可能性が高いとされています。

両氏によると、赤外線では観測されず、塵の環にも影響を与えていないといったフォーマルハウトbの性質も、衝突で生じた塵の雲だったとすればすべて説明ができるといいます。フォーマルハウトでこうした衝突が発生する確率を両氏は20万年に1回と算出しており、ハッブル宇宙望遠鏡は太陽系外で起きた微惑星どうしの衝突後の様子を偶然にも捉えていたことになります。

なお、Gáspár氏とRieke氏は、打ち上げに向けて準備が進められているNASAの「ジェイムズ・ウェッブ」宇宙望遠鏡による科学観測最初の年にフォーマルハウトを観測し、塵の環の形を保っている可能性がある未発見の系外惑星の捜索などを予定しているとのことです。

ハッブル宇宙望遠鏡による観測結果をもとに、塵の雲が拡散していく様子を示した図(右)。最初に撮影された2004年の時点では、衝突からまだそれほど時間が経っていなかったとみられている(Credit: NASA, ESA, and A. Gáspár and G. Rieke (University of Arizona))

 

Image Credit: ESA/NASA, M. Kornmesser
Source: Hubblesite
文/松村武宏

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