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ハッブル宇宙望遠鏡が新たに捉えた「かに星雲」 その複雑な構造と25年間の膨張の軌跡

こちらは、ハッブル宇宙望遠鏡が観測した超新星残骸「かに星雲(Crab Nebula)」。おうし座の方向、約6500光年先にあります。

Hubble(ハッブル)宇宙望遠鏡が2024年に観測した超新星残骸「かに星雲」(Credit: Image: NASA, ESA, STScI, William Blair (JHU); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))
【▲ ハッブル宇宙望遠鏡が2024年に観測した超新星残骸「かに星雲」(Credit: Image: NASA, ESA, STScI, William Blair (JHU); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI))】

「かに星雲」は、西暦1054年に観測された超新星爆発「SN 1054」の残骸として知られる有名な天体です。中国の史書や日本の古典文献などにも、昼間でも数週間にわたって目視できるほど明るく輝く「客星」として記録が残されています。

残骸の中心には「かにパルサー」と呼ばれる、非常に重い星のコア(中心核)が崩壊することで生じた中性子星が残されており、現在も高速で自転し続けています。

描き出されたガスの分布とシンクロトロン放射

NASA(アメリカ航空宇宙局)によると、この画像を彩る鮮やかな色は、星雲を構成するガスの密度やエネルギー状態の違いを反映しています。

たとえば、青い部分は最も高温かつ低密度の酸素、緑の部分は高密度の中性酸素、赤い部分は高エネルギーの硫黄に対応しています。また、黄色く見える部分は高密度の中性酸素と硫黄が重なり合って明るく見えている領域です。

さらに、星雲の中心付近を覆う白い「もや」のような光は、「シンクロトロン放射」と呼ばれるものです。これは、光速に近いスピードまで加速された電子などの荷電粒子がパルサーの強力な磁場に捕捉され、らせん状に運動する際に放つ電磁波です。

NASAによれば、このシンクロトロン放射からの放射エネルギーが周囲のフィラメント(ひも状の構造)を加熱して光らせるとともに、かに星雲全体の持続的な膨張を推し進める原動力にもなっているといいます。

25年間隔の観測データが明かす膨張の軌跡

学術誌「The Astrophysical Journal」に論文が掲載された、ジョンズ・ホプキンス大学の天文学者William Blairさんを筆頭とする研究チームの成果では、2026年で打ち上げから36年を迎えたハッブル宇宙望遠鏡の長期間のミッションに支えられた重要な発見がもたらされました。

ハッブル宇宙望遠鏡が1999年に取得したかに星雲の観測データと、冒頭の画像作成に使われた2024年取得のデータを研究チームが比較したところ、星雲を構成する複雑なフィラメントが、時速約340万マイル(約550万km)というスピードで外側へ向かって移動していることが確認されたといいます。

Blairさんは「私たちは夜空を不変のものだと思いがちですが、ハッブル宇宙望遠鏡の長きにわたる観測によって、かに星雲のような天体でさえも実際に動いており、ほぼ1000年前の爆発から今もなお膨張し続けている姿が明らかになりました」と述べています。

冒頭の画像はNASAから2026年3月23日付で公開されたもので、NASAマーシャル宇宙飛行センターの公式Xアカウントが2026年5月6日付で改めて紹介しています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典