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超大型望遠鏡VLTが観測した天の川銀河の中心方向 第3のガス雲が長年の謎を解く手がかりに

こちらは、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(Very Large Telescope=超大型望遠鏡)で観測した、いて座の一角。この方向には、地球から約2万7000光年先に天の川銀河の中心部があります。

ESOのVLT(超大型望遠鏡)が観測した天の川銀河の中心方向(Credit: ESO/D. Ribeiro for the MPE GC team)
【▲ ESOのVLT(超大型望遠鏡)が観測した天の川銀河の中心方向(Credit: ESO/D. Ribeiro for the MPE GC team)】

この画像の中央付近には、超大質量ブラックホール「いて座A*(エースター)」が存在しています。その周辺は、数多くの星々やガス雲がブラックホールの強大な重力に引っ張られ、猛スピードで飛び交う非常にダイナミックな環境となっています。

ドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所(MPE)を中心とする研究チームは、いて座A*を周回する新たなガス雲「G2t」の発見を報告しました。

いて座A*を周回するガス雲は以前から知られていますが、そのうちの2つ「G1」と「G2」は純粋なガスの塊なのか、それとも中心に星が隠されているのかがはっきりとわかっておらず、天文学者たちの間で長年の議論の的となっていました。今回発見されたG2tは、その謎を解き明かす重要な手がかりになったといいます。

ガス雲の正体と起源に迫る

研究チームは、VLTの高解像度撮像分光器「ERIS(Enhanced Resolution Imager and Spectrograph)」を用いて、これらのガス雲の軌道を詳細に測定しました。その結果、以前から知られているG1とG2、そして今回見つかったG2tの3つは、互いにわずかに傾いているだけで、ほぼ同じ軌道を描いてブラックホールを周回していることが明らかになりました。

研究チームによれば、中心に星を隠し持った別々の天体が、偶然これほど似通った軌道を持つ確率は極めて低いといいます。このことから、それぞれの雲の中心に星が存在するという説は否定されました。

さらに、軌道がよく似ているという事実は、3つの雲が同じ起源を持っている可能性を示しています。研究チームは、その起源が「IRS 16SW」と呼ばれる大質量星の連星である可能性が最も高いと考えています。IRS 16SWは大量のガスを放出しており、この星がいて座A*の周りを移動しながらガスを放出することで、少しずつ軌道の異なる3つのガス雲が形成されたと考えられています。

天の川銀河の中心部は数十年にわたって観測が続けられていますが、今回の発見は、この領域にはいまだに新たな謎や驚きが潜んでいることを示しています。

冒頭の画像はESOから2026年3月9日付で公開されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典