こちらは「ポンプ座」の方向約1億3000万光年先の銀河団「ポンプ座銀河団(Antlia Cluster)」の一角。画像の横幅は満月の見かけの直径の約1.5倍に相当します(視野は48.44×34.91分角)。
ポンプ座銀河団は2つの楕円銀河「NGC 3268」(中央)と「NGC 3258」(右下)をはじめ230個以上の銀河からなる銀河団で、ここにはその一部と、背景で輝く無数の銀河が写っています。
合体途中の銀河団か 数多くの小さな銀河も含む
画像を公開したアメリカ国立科学財団(NSF)国立光学・赤外天文学研究所(NOIRLab)によると、NGC 3268とNGC 3258の間にはまるで2つの銀河をつなぐロープのように球状星団が分布していることがX線観測によって判明しています。このことから、ポンプ座銀河団は小さな2つの銀河団どうしが合体している最中の姿かもしれないと考えられています。
また、ポンプ座銀河団では超コンパクト矮小銀河のように低光度で比較的小さな銀河も多数発見されています。この何十年かの間に知られるようになったこれらの銀河を調べることで、研究者は銀河の進化過程をより細かく描き出せるようになるということです。
この画像はチリのセロ・トロロ汎米天文台にあるブランコ4m望遠鏡に設置された観測装置「ダークエネルギーカメラ(DECam)」の観測データをもとに作成されたもので、NOIRLabから2025年1月1日付で公開されています。
DECamはその名が示すように暗黒エネルギー(ダークエネルギー)の研究を主な目的として開発された観測装置で、画素数は約520メガピクセル、満月約14個分の広さ(3平方度)を一度に撮影することができます。当初の目的である暗黒エネルギー研究のための観測は2013年から2019年にかけて実施されました。
拡大画像
- ダークエネルギーカメラが撮影した「南の回転花火銀河」こと渦巻銀河「M83」(2024年12月18日)
Source
- NOIRLab - Dark Energy Camera Captures the Glittering Galaxies of the Antlia Cluster
文・編集/sorae編集部