ヨーロッパ南天天文台の望遠鏡が撮影した“走るニワトリ星雲”のクローズアップ
【▲ VLTサーベイ望遠鏡(VST)のOmegaCAMで観測された散開星団「IC 2948」が伴う輝線星雲のクローズアップ(Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU)】

こちらは「ケンタウルス座」の散開星団「IC 2948」が伴う輝線星雲のクローズアップです。ピンク色のベールのような星雲を背景に、青・黄・白・オレンジといった様々な色の星が輝く幻想的な光景が捉えられています。

散開星団「IC 2948」が伴う輝線星雲のクローズアップ
【▲ VLTサーベイ望遠鏡(VST)のOmegaCAMで観測された散開星団「IC 2948」が伴う輝線星雲のクローズアップ(Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU)】

散開星団は数十~数百個の若い星がゆるく集まった星の集団のこと。また、輝線星雲は若い大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放っている星雲のことで、HII(エイチツー)領域とも呼ばれています。こうした領域はガスと塵(ダスト)を材料に星が形成される星形成領域であり、新たな星が誕生する現場であることから“星のゆりかご”と呼ばれることもあります。

この画像は、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が運営するチリのパラナル天文台にある「VLTサーベイ望遠鏡(VST)」に搭載されている広角カメラ「OmegaCAM」で取得したデータをもとに作成された高解像度画像の一部(※記事の最後に掲載)を拡大したものです。

IC 2948の周囲には他にも幾つかの輝線星雲が存在しており、その姿から海外では「Running Chicken Nebula(走るニワトリ星雲)」の別名でも知られています。VSTによる“走るニワトリ星雲”の観測は、星がどのようにして生まれて死んでいくのかを理解するために、恒星や星雲を可視光線の波長で観測するESOの大規模サーベイ「VPHAS+」(VST Photometric H alpha Survey of the Southern Galactic Plane and Bulge)の一環として実施されたということです。

冒頭の画像はESOの“今週の画像”として2024年9月16日付で公開されています。ちなみにESOによると、IC 2948は人によって“走るニワトリ”の頭に見えたりお尻に見えたりするのだとか。あなたにはどちらに見えますか?

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2023年12月にESOが公開した「走るニワトリ星雲」の全体像(天体名の注釈やサイズ比較用の月の画像を追加したバージョン)
【▲ 参考画像:2023年12月にESOが公開した「走るニワトリ星雲」の全体像(天体名の注釈やサイズ比較用の月の画像を追加したバージョン)(Credit: ESO/VPHAS+ team. Acknowledgement: CASU)】

 

Source

  • ESO - Lost in a giant stellar nursery

文・編集/sorae編集部