こちらは「ケンタウルス座」の方向約7500光年先の輝線星雲「Gum 41(ガム41)」です。輝線星雲は若い大質量星から放射された紫外線によって電離した水素ガスが光を放っている星雲で、HII(エイチツー)領域とも呼ばれています。水素ガスが放つ光は赤いため、Gum 41は全体的に赤みを帯びています。
ヨーロッパ南天天文台(ESO)によると、Gum 41は「ストレムグレン球(Strömgren sphere)」とも呼ばれる球対称の形状をしたHII領域の良い例とされています。Gum 41で水素ガスを電離させているのは2つの若い大質量星からなる連星「HD 100099」で、画像では星雲の中央に写っています。
Gum 41の近くには画像の右端近くに写っている「HD 99944」をはじめ、HD 100099のような若い連星が幾つもあるといいます。こうした星は寿命が数百万年と短く、将来的には星雲を輝かせる星がなくなるため、やがてGum 41は透明になって見えなくなってしまうのだそうです。冒頭の画像はESOから2024年4月8日付で公開されています。
なお、Gum 41は周辺の輝線星雲とあわせて「Running Chicken Nebula(走るニワトリ星雲)」の愛称で呼ばれていて、ESOは2023年12月に全体像を公開しています。次に掲載したその画像では右下に写っているGum 41、ESOによればニワトリの「足」なのか、それとも「頭」なのかを巡って驚くほどの議論が引き起こされているそうですが、読者の皆さんにはどちらに見えますか?
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・南天の夜空を駆ける「走るニワトリ星雲」ヨーロッパ南天天文台の望遠鏡で撮影(2024年1月4日)
Source
- ESO - Take a tour of the stunning Gum 41 nebula
文・編集/sorae編集部