星々を生み出す幻想的な星形成領域「NGC 1333」 ウェッブ宇宙望遠鏡が観測
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線撮像・スリットレス分光器(NIRISS)で観測された星形成領域「NGC 1333] (Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Scholz, K. Muzic, A. Langeveld, R. Jayawardhana)】

こちらは「ペルセウス座」の方向約960光年先の星形成領域「NGC 1333」です。星形成領域とはその名の通り、ガスや塵を材料にして新たな星が形成されている領域のこと。星はガスや塵が高密度に集まった分子雲の中でも、特に濃い部分が重力によって崩壊する(潰れる)ことで誕生すると考えられています。NGC 1333は「ペルセウス座分子雲(Perseus molecular cloud)」と呼ばれる星形成領域の一部でもあります。

【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線撮像・スリットレス分光器(NIRISS)で観測された星形成領域「NGC 1333](Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Scholz, K. Muzic, A. Langeveld, R. Jayawardhana)】
【▲ ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線撮像・スリットレス分光器(NIRISS)で観測された星形成領域「NGC 1333] (Credit: ESA/Webb, NASA & CSA, A. Scholz, K. Muzic, A. Langeveld, R. Jayawardhana)】

この画像は「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope: JWST)」の「近赤外線撮像・スリットレス分光器(NIRISS)」で取得したデータをもとに作成されました。ウェッブ宇宙望遠鏡は人の目で捉えることができない赤外線の波長で主に観測を行うため、公開されている画像の色は取得時に使用されたフィルターに応じて着色されています。

欧州宇宙機関(ESA)によると、オレンジ色の斑点状の部分は活発な星形成領域の特徴である「ハービッグ・ハロー(Herbig-Haro)天体」です。ハービッグ・ハロー天体は若い星の周囲にみられる明るい星雲状の天体で、若い星から流れ出たガスと周囲の物質が衝突することで放出された光が観測されていると考えられています。青色の部分は星形成領域に広がる分子雲のうち星に照らされている部分です。

また、回折スパイク(※)が生じている明るい星だけでなく、暗い星も小さな光点として捉えられています。これらの星のいくつかは誕生したばかりの褐色矮星で、その質量は巨大惑星に匹敵するほどの小ささだといいます。赤外線を鋭敏に捉えるウェッブ宇宙望遠鏡は、塵が豊富であるために可視光線では観測が難しい星形成領域を覗き込み、若い星だけでなくより軽い惑星質量の天体をも見つけることができるということです。

※…回折スパイク(diffraction spike):望遠鏡の構造によって生じる光芒のこと。ウェッブ宇宙望遠鏡の場合は大小8本からなる特徴的な光芒が現れる。

冒頭の画像は“ウェッブ宇宙望遠鏡の今月の画像”としてESAから2024年8月27日付で公開されています。

 

Source

文・編集/sorae編集部