地球以外の場所で生活することを想像すると、それはとても魅力的に思えることがあります。しかし、実際には、わたしたちが地球と宇宙について学べば学ぶほど、地球がどれほど特別であるかを理解するようになります。

わたしたちが地球に住んでいることに感謝する理由を、NASAが9つの天体を挙げて、おもしろい比較で説明しています。昨年の「アースデイ」(Earth Day2020年4月22日)に因んで掲載された記事の主要なところをご紹介します。

earth_banner(Credit:NASA)

【▲ ISSから撮影された日の出のパノラマ写真。(Credit: NASA)】

1.深呼吸ができる(火星と比較)

火星ヘリコプター「Ingenuity」が撮影した高度10mから見た火星の大地(Credit: NASA/JPL-Caltech)

【▲ 火星ヘリコプター「Ingenuity」が撮影した高度10mから見た火星の大地(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

赤い惑星として知られる火星は常に人々の心を魅了してきました。地球からさほど遠くないこの世界に住んでみたらどうだろうかと考える人も多いことでしょう。

しかし、火星では窒素と酸素に富んだ空気を吸うことはできません。生命維持に不可欠な宇宙服がなければ、人間は二酸化炭素を吸うことになります。二酸化炭素は通常老廃物として排出される有毒ガスなのです。だから、地球では火星と異なり深呼吸ができます。

2.しっかりとした地盤がある(太陽と比較)

ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡によって撮影された太陽表面の様子。画像の一辺は3万6500kmに相当(Credit: NSO/AURA/NSF)

【▲ ダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡によって撮影された太陽表面の様子。画像の一辺は3万6500kmに相当(Credit: NSO/AURA/NSF)】

地球には草原、険しい山々、凍った氷河など、しっかりとした地盤があります。しかし、太陽の上で生活するためには、すべての固い地面に別れを告げなければなりません。

太陽はプラズマの巨大な球体で、過熱されたガスで出来ています。光球と呼ばれる太陽の目に見える表面に立とうとすると、約330,000 キロメートルのところで、圧縮されたプラズマの層に到達します。しかし、海の最も深いところよりも 450万倍も強い圧力に押しつぶされてしまうので、浮くことはないでしょう。

3.季節が巡ってくる(金星と比較)

金星探査機「あかつき」の観測データをもとに作成された金星の画像(Credit: JAXA / ISAS / DARTS / Damia Bouic)

【▲ 金星探査機「あかつき」の観測データをもとに作成された金星の画像(Credit: JAXA / ISAS / DARTS / Damia Bouic)】

記録された歴史が始まって以来、人々は、冬の荒涼とした日々から春の輝かしい日々へ、さらに夏から秋へと、自然の移り変わりを祝ってきました。

季節は、惑星の自転軸の傾き(地球は23.4)によって生じ、各々の半球に太陽の光と熱を多く受けたり、少なく受けたりします。しかし、金星の自転軸はほとんど傾いておらず、金星では季節が巡ってくることはありません。

4.重力で麺のようにならない(ブラックホールと比較)

超大質量ブラックホール

【▲ 超大質量ブラックホールを描いた想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

科学者やSF作家の想像力をかきたてるブラックホールは、光さえも逃がさない非常にコンパクトな天体です。

幸運にもブラックホールまで行くことのできる宇宙船があったとしても、ブラックホールの重力は非常に強いため、近づきすぎると宇宙船とその中にいる全員がスパゲッティのような伸びた麺の形になります。幸いなことに地球には適度な重力があり、飛び去ってしまったり、立って走り回ったりできないほどではありません。

5.心地よい風を感じることができる(木星と比較)

木星の画像(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kevin M. Gill)

【▲ 木星の画像(Credit: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kevin M. Gill)】

木星の色とりどりの雲の帯や息をのむような渦巻きは、スカイダイバーにとっては魅力的に見えるかもしれません。

しかし、木星の強い重力と超高速の自転を考えると、スカイダイバーは時速430680キロメートルの荒れ狂う風にノックされます。木星では、地球の最強ハリケーンさえもそよ風のように感じることでしょう。

6.青、白、緑色のきらめく球体である(イオと比較)

木星の衛星イオ(Credit: NASA/JPL/University of Arizona)

【▲ 木星の衛星イオ(Credit: NASA/JPL/University of Arizona)】

地球上で潮の干満が最も大きい場所では、干潮と満潮の差は約15メートルです。木星の衛星イオは、木星の巨大な重力と、隣接する2の衛星、エウロパとガニメデの間での綱引きに巻き込まれています。この綱引きの力により、イオの表面は100 メートルも上下に膨らみます。それも、水ではなく岩が上下するのです。

イオの内部は非常に高温で、太陽系内で最も火山活動が活発な世界です。イオは宇宙から見るとカビの生えたチーズピザのように見えますが、何百もの火山があります。

7.澄み切った空、晴れた日、泳げる水がある(タイタンと比較)

土星の衛星タイタンの北極にある湖の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)

【▲ 土星の衛星タイタンの北極にある湖の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech)】

私たちが知っている宇宙で、人間の住処として地球に似た場所を一カ所挙げるとすれば、それは土星の衛星タイタンです。

タイタンの大気圧は地球よりもわずかに高いですが、大気は、有害な放射線から人間を守ってくれるでしょう。タイタンには雲、雨、湖や川、さらに地下には塩分を含んだ海もあります。地形や風景でさえ、地球の一部に不気味なほど似ています。

しかし、大きな欠陥があります。大気中に酸素は存在しません。そして、美しい川や湖は液体メタンからできています。わたしたちの身体はメタンよりも密度が高いので、岩のように沈んでしまいます。さらに、タイタンは地球よりも太陽からはるかに離れているだけでなく、霞んだ大気が太陽光を弱め、昼間でも地球の薄暮のような光景に見えます。

 

関連:土星の衛星「タイタン」特集 地球外生命も期待される天体

8.乾いた大地が存在し、世界全体が氷の下に埋もれていない(エウロパと比較)

木星の衛星エウロパ(Credit: NASA/JPL-Caltech/SETI Institute)

【▲ 木星の衛星エウロパ(Credit: NASA/JPL-Caltech/SETI Institute)】

木星の衛星エウロパは、生命を探すのに最適な場所の一つと考えられています。地球のすべての海を合わせたよりも多くの液体の水を含んでいる可能性があるからです。

しかし、エウロパの海にはビーチも岸もありません。氷の下に隠された海だけがエウロパを覆っているのです。

9.シュークリームのような雲が行ったり来たりする(ケプラー7bと比較)

木星(左)の半径の1.5倍であるケプラー7b(右)は、雲がマッピングされた最初の太陽系外惑星です。雲の地図は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡のデータを使用して作成されました(Credit: NASA/JPL)

【▲ 木星(左)の半径の1.5倍であるケプラー7b(右)は、雲がマッピングされた最初の太陽系外惑星です。雲の地図は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡のデータを使用して作成されました(Credit: NASA/JPL)】

太陽系外惑星はこれまでに4,000 以上発見されていますが、地球のような快適な生活を提供できる惑星はまだ確認されていません。

たとえば「ケプラー7b」と呼ばれる系外惑星は、発泡スチロールとほぼ同じ密度のガス惑星です。月と同じように片面が常に恒星(母星)の方を向いています。そのため、この惑星の半分は常に暑く、もう半分は常に夜だということです。もし地球の曇り空にうんざりしたら、ケプラー7bの片側には常に厚くて動かない雲があり、その雲は蒸発した岩石と鉄でできている可能性があることを考えてみてください。

 

ここに挙げた9つの理由(説明)は、今後の研究で変わる可能性があるかもしれません。しかし、宇宙から地球を振り返った宇宙飛行士たちは、かつて科学者のカール・セーガンが書いたように「淡いブルーの点(pale blue dot)、わたしたちがこれまでに知っている唯一の住処」である地球を見て、そこには美しく繊細な世界があり、それは生命の恵みに完全に適合していると考えました。このことを、いまあらためて考えてみたいものです。

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【▲カッシーニ探査機が捉えた土星の環と「淡いブルーの点」(pale blue dot)の地球。(Credit:NASA Goddard)】

関連:宇宙に浮かぶ”点”の様な地球。ボイジャーが60km先から撮影した「ペイル・ブルー・ドット」

 

Image Credit: NASANASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Kevin M. GillNASA/JPL/University of ArizonaNASA/JPL-CaltechNASA/JPL-Caltech/SETI InstituteNASA/JPLNASA Goddard、PhotoAC
Source: NASA
文/吉田哲郎

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