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今から約38億年前に海の中で誕生したと考えられている地球上の生命は、環境の変化とともに進化と絶滅を繰り返しつつ、現在まで繁栄してきました。

デンマーク最大の宇宙研究機関であるデンマーク国立宇宙センター(DTU Space)の科学者チームは、地球の生命の生物多様性の変化と超新星爆発が関連しているという興味深いアイデアを提唱しています。

【▲ 超新星爆発によって発生した宇宙線が海洋に降りそそぐイメージ(Credit: Henrik Svensmark, DTU Space)】

科学者チームは、過去5億年の間に起きた海洋生物の多様性の変化と、太陽系近傍での超新星の発生との間に強い相関関係があると考えています。この研究論文の著者であるヘンリック・スヴェンスマルク(Henrik Svensmark)氏は、超新星がもたらす影響の1つとして、地球の気候が変化する可能性を指摘しています。

そのプロセスは以下の通りです。まず、太陽の8倍以上の質量を持つ恒星が超新星爆発を起こすと、大量のエネルギー粒子が宇宙線として放出されます。これらのエネルギー粒子はやがて太陽系にも到達し、地球の大気圏に突入して大気をイオン化することで、雲を形成するエアロゾルの生成を助けることになります。

雲は地表に届く太陽光の量を左右することで、気候の寒暖に影響を及ぼします。つまり、超新星爆発は宇宙線を介して、実質的に地球の気候変動サイクルの一部になっているというのです。

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科学者チームはこのアイデアの証拠を示すために、古代の浅い海域に生息していた生物の化石から見つかった生物多様性の変化を示すデータと、超新星の発生頻度を示すデータを相互に関連付けて分析しました。

超新星から到達する宇宙線が多い期間は、極域と赤道付近の温度差が大きくなって、寒冷な気候になります。温度差は強い風を生み出し、風は海をかき混ぜて、海洋生物に必要な栄養分を大陸棚に沿った海域へと運びます。

循環によって海洋生物にもたらされた栄養分の濃度は、海洋生物の生物生産性(生物の繁殖力)を左右します。死んだ生物の遺骸は堆積物として海底に沈んで化石となり、過去の生物活動の記録として保存されます。この化石から得られる生物多様性の情報と超新星の発生頻度を比較したのです。

超新星の相対的発生頻度[黒曲線]と海洋縁辺部の浅い海域での海洋生物の属レベルの生物多様性[茶色から濃い緑色までの曲線]とを比較した図
【▲超新星の相対的発生頻度[黒曲線]と海洋縁辺部の浅い海域での海洋生物の属レベルの生物多様性[茶色から濃い緑色までの曲線]とを比較した図。最上部の地質時代区分の略号は、Cmカンブリア紀、Oオルドビス紀、Sシルル紀、Dデボン紀、C石炭紀、Pペルム紀、Tr三畳紀、Jジュラ紀、K白亜紀、Pg古第三紀、Ng新第三紀を示す。最下部の時間軸の単位は「百万年前」(Credit:Henrik Svensmark, DTU Space)】
すると、超新星爆発の頻度が高い期間には、浅い海洋環境における生物多様性も増加することが明らかになりました。この結果から、超新星は地球の海洋の生物生産性に影響を与えることで、生物多様性にも変化をもたらしてきたことが推測されます。

この仮説が立証されれば、遠く離れた天体物理学的な現象と、地球上の生命進化との間に存在する1つのつながりが、新たに認識されることになります。

 

Source

  • Image Credit: Henrik Svensmark, DTU Space
  • UNIVERSE TODAY – Linking Supernovae to Life Changes
  • Wiley Online Library – A persistent influence of supernovae on biodiversity over the Phanerozoic

文/吉田哲郎

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