天の川銀河の中心にある「いて座A*(エースター)」は、太陽の約400万倍の質量がある超大質量ブラックホールとみられています。今回、いて座A*の近くを周回する恒星「S2」(S0-2)の動きから、一般相対性理論の正しさが再確認されたとする研究成果が発表されています。

■一般相対性理論で予測される近点移動がS2の動きから検出された

S2で確認された近点移動のイメージ図。S2が軌道を1周するごとに、軌道全体が回転するように約0.2度ずつずれていく(図ではずれの大きさが誇張されて描かれています)(Credit: ESO/L. Calçada)

S2は彗星のような楕円軌道を描きながらいて座A*を約16年ごとに1周しています。最接近時にはいて座A*におよそ120天文単位(地球から太陽までの距離の120倍)のところまで近づき、その重力の影響を強く受けることから、ブラックホールの性質を探る研究や一般相対性理論の検証などに利用されている天体です。

Stefan Gillessen氏(マックス・プランク地球外物理学研究所)らの研究チームが27年間に渡るS2の観測データを分析した結果、S2がいて座A*に最接近する軌道上のポイントである近点が、1周するごとに約12分(0.2度)ずつずれていく近点移動を起こしていることが初めて確認されました。研究チームによると、これは一般相対性理論で予測された通りの動きだといいます。

天体の軌道全体が長い時間をかけて少しずつ回転しているように見える近点移動は太陽系の惑星でも起きていて、地球の近点移動(近日点移動)の場合はおもに木星など惑星の重力による影響で生じます。ところが太陽に一番近い水星の近日点移動は惑星の影響だけでは説明ができず、かつては「さらに内側に存在する未発見の惑星による影響」とも考えられていました。しかし20世紀に入って一般相対性理論が登場したことで、水星の近日点移動では太陽の重力がもたらす相対論的効果が強く現れていることが判明しています。

研究チームによると、S2の近点移動はいて座A*の重力がもたらす相対論的効果によって生じており、超大質量ブラックホールとみられる天体の周囲で確認されたのはこれが初めてのことだといいます。今回の研究にも参加し、30年近くに及ぶS2の観測に長年貢献してきたReinhard Genzel氏(マックス・プランク地球外物理学研究所)は「一般相対性理論を証明する最初の証拠となった水星の近日点移動における発見から100年、私たちはS2の動きから同じ効果を発見した。この進歩は、いて座A*が超大質量ブラックホールであることを示す証拠を強化するものだ」と語っています。

▼近点が移動していく様子を再現したアニメーション(Credit: ESO/L. Calçada)▼

 

Image Credit: ESO/L. Calçada
Source: ESO
文/松村武宏

 オススメ関連記事

【 sorae 広がる 】
フォローお願いします!
・Google news 配信
・Instagram ダイジェスト配信