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赤色矮星が岩石惑星を“飲み込んだ”証拠を発見? 存在しないはずのリチウムを検出

イギリスのキール大学とエクセター大学の研究者からなるチームは、若い赤色矮星(M型星)が自身の周囲を形成・公転する惑星を“飲み込んだ”ことを示す証拠を発見したとする研究成果を発表しました。研究チームの成果をまとめた論文は「王立天文学会月報(MNRAS)」に掲載されています。

赤色矮星「TRAPPIST-1」を公転する太陽系外惑星のイメージ図(Credit: NASA, ESA, and G. Bacon (STScI))
【▲ 赤色矮星「TRAPPIST-1」を公転する太陽系外惑星のイメージ図(Credit: NASA, ESA, and G. Bacon (STScI))】

リチウムが解き明かす「消えた惑星」の謎

赤色矮星は太陽よりも質量が小さく、表面温度が低い恒星ですが、その内部は非常に高温で激しい乱流状態にあります。星が形成される際には周囲からガスや塵(ダスト)などを取り込みますが、赤色矮星が取り込んだリチウム(Li)は核融合反応によって急速に消費されてしまうため、通常であればリチウムがまったく存在しないことになります。

研究チームによると、もしも赤色矮星の大気中にリチウムが存在した場合、リチウムを豊富に含む惑星やその残骸などの物質が星に降着した(飲み込まれた)ことを示す証拠になるのではないかと、以前から予測されていたといいます。

「真っ白なキャンバスに絵の具を投げるようなもの」

研究チームは今回、Gaia-ESO分光サーベイ(GES※1)の観測データを用いて、若い星団内にある数千個の恒星が電磁波とどのように相互作用するかを調べるべく、分光観測(※2)データの分析を行いました。孤立した恒星とは異なり、同じ星団内には同じ初期物質から生まれた星が多数存在します。そのため、星団の星々には、互いを比較することでわずかな化学組成の違いを特定しやすいという大きな利点があります。

※1…GES:ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のGaia(ガイア)宇宙望遠鏡による天体の精密な位置・運動の測定を補完するべく、ESO(ヨーロッパ南天天文台)のVLT(超大型望遠鏡)を用いて天の川銀河内の10万個以上の恒星を観測し、その化学組成や運動を詳細に調査したプロジェクト。

※2…電磁波の波長ごとの強さの分布を示すスペクトルを得る観測手法。

分析の結果、3つの異なる散開星団(NGC 2451a、Blanco 1、NGC 2516)に属する6つの赤色矮星において、同じスペクトル型の他の恒星よりもはるかに高いリチウム含有量が特定されました。キール大学によれば、これは岩石惑星を構成する物質(それぞれ地球の質量の3~10倍に相当)が降着した結果、赤色矮星の大気に新たなリチウムが供給されたことを示唆するといいます。

研究に参加したキール大学のRobin Jeffries教授は、リチウムが枯渇しているはずの赤色矮星においてリチウムが検出されたことを「完全に真っ白なキャンバスに絵の具を投げつけるようなもの」と表現し、その特異性が明白であったことを強調しています。

惑星系の進化を探る新たな手がかりに

キール大学によると、恒星による“惑星の飲み込み(engulfment)”は、惑星系形成の初期段階で起こり得る現象として長らく理論化されてきました。研究チームは、太陽系の初期にも起こった可能性があると指摘しています。

今回の発見が正しければ、初期の惑星系の進化を解き明かす新たな手がかりになり得ます。今後は惑星の飲み込みが起こる時期や飲み込まれる物質の量などについて、さらに詳細な調査が進むことが期待されています。

 

文/ソラノサキ 編集/sorae編集部

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参考文献・出典