陸域観測技術衛星2号「だいち2号」(ALOS-2)を搭載したH-IIAロケットの打ち上げが間近に迫っている。種子島宇宙センターでは打ち上げに向けた準備が順調に進められている。

今回の打ち上げではロケットの余剰能力を利用し、「だいち2号」と一緒に4機の小型衛星が搭載される。こうした取り組みは2006年から行われており、宇宙開発の利用促進や人材育成を目的に、大学や民間企業から衛星を募集、2009年の「いぶき」の打ち上げで6機の公募小型副衛星が打ち上げられたのを皮切りに、これまで18機の衛星が打ち上げられ、また今回の「だいち2号」打ち上げでは4機が、さらに今年末に予定されている「はやぶさ2」の打ち上げでも3機の搭載が予定されている。

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今回打ち上げられる衛星は、「RISING-2」、「UNIFORM-1」、「SOCRATES」、「SPROUT」の4機だ。

RISING-2は東北大学と北海道大学が開発した衛星で、解像度5mで、また多波長で地球を観測できる望遠鏡を搭載している。また高精度の三軸姿勢制御が行える機構を積んでおり、定地点の連続撮影にも挑戦、スプライトと呼ばれる高々度の放電発光現象の観測も行う。衛星の寸法は500 x 500 x 500mm、打ち上げ時の質量は約43.2kg。

UNIFORM-1は和歌山大学を中心に、東京大学、東北大学、東京理科大学、首都大学東京、北海道大学、次世代宇宙システム技術研究組合、宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所(JAXA/ISAS)が共同開発した衛星で、森林火災の検知を目的としている。また、UNIFORMプロジェクトは「汎用的に利用できる超小型衛星バス・運用システムの確立」、「標準化した衛星開発プロセスによるキャパシティビルディングの展開」、そして「そのキャパシティビルディングを通じた海外市場の獲得」といった目標が掲げられており、海外の宇宙新興国との交流や、衛星の商業化にも重点が置かれている。衛星の寸法は500 x 500 x 500mm、打ち上げ時の質量は約50kg。

SOCRATESは株式会社エイ・イー・エスと、情報通信研究機構(NICT)、JAXAが開発した衛星で、エイ・イー・エス社が開発した小型衛星の標準バスを使用した最初の衛星で、そこにNICTとJAXAのミッション機器を搭載、宇宙での実証試験を行う。寸法は499 x 498 x 441mm、打ち上げ時の質量は48kg。

SPROUTは日本大学と株式会社ウェルリサーチが開発した衛星で、寸法は210 x 214 x 220mm、質量は7.1kgと小さいものの、軌道上で厚さ12.5μm、一辺1.5mのとても薄い膜を展開する。衛星の目的はこの膜が展開できるかの実証と、また膜によって軌道がどのように落ちてくるかを実証することにある。またこれほどの小さな衛星の姿勢制御技術の実証や、アマチュア無線家による、衛星に搭載されているカメラの使用なども計画されている。

これら4機の衛星は、「だいち2号」の分離後に順次分離される。「だいち2号」はロケットの離昇後15分42秒に、RISING-2は24分38秒、UNIFORM-1は28分48秒、SOCRATESは32分58秒、そしてSPROUTは37分5秒に、ぞれぞれ分離される。

4機の衛星のうち、RISING-2とUNIFORM-1、SOCRATESはJAXAが開発したPAF239Mと呼ばれる分離機構から放出される。この機構はロケットからの分離信号によって火工品に点火、発生したガスの圧力でボルトを切って締結バンドを外し、バネの圧力で宇宙空間に放出するという仕組みだ。一方、SPROUTは独自の分離機構が用いられる。

これらの衛星は5月7日にロケットに搭載され、フェアリングの中に収められている。次にその姿を見せるのは、宇宙空間に到達したときだ。

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