中華人民共和国は12月11日、地球観測衛星「遥感衛星二十五号」を搭載した長征四号丙ロケットの打ち上げに成功した。遥感衛星シリーズの打ち上げは11月20日以来3週間ぶり、また今年だけでも6機目という、きわめて早いペースでの打ち上げを続けている。

ロケットは中国標準時2014年12月11日3時33分(日本時間2014年12月11日4時33分)、甘粛省にある酒泉衛星発射センターの第2発射台から離昇した。その後、中国政府や国営メディアは打ち上げ成功と発表した。また米軍が運用する宇宙監視ネットワークは、高度約1,100km、軌道傾斜角63.41度の軌道に、現在までに6つの物体が乗ったことを確認している。

中国の発表によれば、「遥感衛星二十五号」は地球観測衛星で、科学試験や災害対策、農作物の管理を目的としているとされる。だが、軍事目的でも使用されていることは半ば公然の秘密となっている。

遥感と名のつく衛星には、電子光学センサーを搭載するものと、合成開口レーダー(SAR)を搭載するもの、そして3機同時に打ち上げられて編隊で飛行し、海上の艦艇から出る電波を傍受するものの、大きく3種類があるとされている。今回軌道に乗った衛星は6機で、電波傍受衛星である可能性が高い。また、過去に打ち上げられた電波傍受衛星も、やはり高度1,100kmの軌道に乗っている。

このシリーズの衛星は、専門家の間では「中国版NOSS」ではないか、といわれている。NOSSとは、Naval Ocean Surveillance Satellitesの略で、米海軍が運用する偵察衛星のひとつだ。NOSSは3機を1組とし、海上の船から発せられる電波を3機それぞれが探知する際の時間差から、発信源、すなわち船の位置を割り出すためのものであったとされる。冷戦期から配備が始まり、ソ連の軍艦の位置の把握のために使われた。現在はその後継機である、コードネーム・イントルーダーが活動しているとされ、また技術の向上により3機1組ではなく2機1組で運用されているようだ。
「中国版NOSS」のシリーズは、2010年3月5日に遥感衛星九号、2012年11月25日に遥感衛星十六号、2013年9月1日に遥感衛星十七号、そして2014年8月9日に遥感衛星二十号が打ち上げられている。

打ち上げに使われた長征四号丙は中国の上海航天技術研究院(SAST)が開発したロケットで、長征四号シリーズの一つとして、主に極軌道への衛星打ち上げに使われている。

長征四号はもともと、長征二号を静止衛星打ち上げロケットに発展させる際にSASTが提案した構成で、長征二号に四酸化二窒素と非対称ジメチルヒドラジンを使用する第3段を追加している。だが、中国運載火箭技術研究院(CALT)が液体酸素と液体水素を使用する第3段を搭載した構成を提案、最終的にCALT案が選ばれ、これが現在の長征三号である。

一方、CALT案は液体酸素と液体水素を使う先進的な設計だったため、そのバックアップとしてSAST案も開発が行われた。その後長征三号が実用化されたため、SAST案は極軌道打ち上げロケットへと転用、すなわちそれが長征四号である。

長征四号の最初の機体、長征四号甲は1988年9月6日に初飛行し、1990年9月3日に2機目が打ち上げられ、引退した。その後1999年5月10日に、長征四号甲のフェアリングを大型化し、またエンジンなどに改良を施して打ち上げ能力を高めた長征四号乙が登場、さらに2006年4月26日には、第3段に再点火可能なYF-40エンジンを搭載した長征四号丙が投入された。

長征四号は今回を含め41機が打ち上げられており、昨年12月に長征四号乙が初めて失敗した以外は、安定した打ち上げを続けている。

 

■我国成功发射遥感卫星二十五号_要闻_新闻_中国政府网
http://www.gov.cn/xinwen/2014-12/11/content_2789517.htm