先月末に打ち上げられた宇宙ステーション補給機ATVの5号機ジョルジュ・ルメートルが12日、国際宇宙ステーション(ISS)に到着した。ATVは今回が最終号機で、これから約6ヶ月の間停泊し、ISSへの物資の補給と、軌道上昇を行う。

ATV-5は7月29日、アリアン5 ESロケットに載せられ、ギアナ宇宙センターから打ち上げられた。ロケットは順調に飛行し、約1時間4分後に計画通りの、高度260km、軌道傾斜角51.6度の円軌道に入った。その後徐々に軌道を上昇させつつ飛行、ISSとのドッキングに備えた。

そしてISSからの距離3,900mから250mまでGPSを使用して接近。続いてビデオメーターとテレゴニオメーターと呼ばれる2つの機器を使い、レーザー・パルスで距離と方向を測りつつ、ISSにさらに接近し、協定世界時2014年8月12日13時30分(日本時間2014年8月12日22時30分)、ズヴェズダ(スヴィスダー)・モジュールにドッキングした。
これから宇宙飛行士によって内部の積荷が搬出される。またATVは、ISSの軌道を上げるリブーストを行うことも担っており、14日にもスラスターのテストが実施される予定だ。

ATV-5はエアバス・ディフェンス&スペース社によって開発された。打ち上げ時の質量は20,060kgで、そのうち6,602kgがISSに補給される物資となる。またそのうちの3,921kgは水や燃料、酸素などで、2,681kgが食料や生活必需品、実験機器などとなる。これは過去最大の積載量となった。

ATV-5はISSにおよそ6ヶ月間係留されたのち、ISSで発生した廃棄物を積み出航、地球の大気圏に再突入し、ミッションを完了する予定だ。

ATV-5にはベルギーの天文学者ジョルジュ・ルメートルの名前が与えられている。歴代のATVにも、1号機にはジュール・ヴェルヌ、2号機にはヨハネス・ケプラー、3号機にはエドアルド・アマルディ、4号機にはアルベルト・アインシュタインと、それぞれ歴史上の偉人の名前が付けられている。

ATVは今回が最終号機となる。だが、欧州による有人宇宙開発への取り組みが終わるわけではなく、ATVの開発と運用を通じて得られた技術を生かし、米航空宇宙局(NASA)が開発中の新型宇宙船オリオンの、サービス・モジュール(機械船)の開発を担う。すでに開発は始まっており、2017年に実施が予定されている探検ミッション1(Exploration Mission 1)で飛行する、オリオンの2号機に初装備される予定となっている。EM-1は無人のオリオンを、アポロ8やアポロ13と同じように、月まで飛ばし、一周させたのち、地球へ帰還させるというものだ。

 

■ATV completes final automated docking / Human Spaceflight / Our Activities / ESA
http://www.esa.int/Our_Activities/Human_Spaceflight/ATV_completes_final_automated_docking