
JAXA=宇宙航空研究開発機構は2025年9月5日付で、2025年6月に打ち上げられた温室効果ガス・水循環観測技術衛星「いぶきGW(GOSAT-GW)」に搭載されている観測機器のひとつ「高性能マイクロ波放射計3(AMSR3)」の初期観測結果を公表しました。
いぶきGWとは

「いぶきGW」は、水循環に関する観測を行う「高性能マイクロ波放射計3(AMSR3)」と、温室効果ガスを観測する「温室効果ガス観測センサ3型(TANSO-3)」を搭載した地球観測衛星です。
JAXAによると、「いぶきGW」のミッションは、2012年打ち上げの水循環変動観測衛星「しずく(GCOM-W)」、2009年打ち上げの温室効果ガス観測技術衛星「いぶき(GOSAT)」、2018年打ち上げの温室効果ガス観測技術衛星2号「いぶき2号(GOSAT-2)」(いずれも運用中)による、水循環変動観測ミッションと温室効果ガス観測ミッションを発展的に継続するものとされています。

「H-IIA」ロケットの最終号機となった50号機に搭載されて日本時間2025年6月29日に打ち上げられた「いぶきGW」は、同年7月20日に運用軌道に投入され、同年8月11日からは初期機能確認運用の一環としてAMSR3およびTANSO-3による観測が行われています。
雲上層の氷粒子や高緯度の降雪も観測しやすく

「いぶきGW」のAMSR3は観測幅が約1500kmで、3日間で地球表面の99.9%をカバーするとされています。今回公開された2025年8月15日~17日の観測データをもとに作成された全球観測画像を見ると、地球全体の雲や降水域が捉えられていることがわかります。

また、AMSR3では「しずく」に搭載されているAMSR2から観測チャネルが追加されていて、雲の上層における氷の粒子や、高緯度での降雪が観測しやすくなりました。
2025年8月16日に観測された北極域を中心とした観測画像を見ると、水粒子を多く含む雨雲と、主に氷粒子でできた氷雲を区別することができていて、AMSR2では難しかった雲の性質の違いや、降雪に関する情報が得られるようになっています。

AMSR3はシリーズを通しての機能として雲の下を昼夜問わず観測可能で、2025年8月15日~17日に取得した海面水温分布も公開されています。
さらに、2025年8月15日に取得された南北両極域の海氷の観測画像も公開されていて、夏を迎えている北極の海氷域が減少している様子、反対に冬を迎えている南極の海氷域が拡大している様子が捉えられています。

なお、「いぶきGW」に搭載されているセンサーの初期機能確認は打ち上げ後3か月間で、その後はセンサーの精度確認・データ補正などを行う初期校正を経て観測運用に移行する予定です。
水循環変動の把握・予測を目的としたAMSR3と、温室効果ガス排出の追跡を目的としたTANSO-3を搭載した「いぶきGW」は、定常的な観測運用が始まれば、社会に対する気候変動の影響と気候に影響する人類の活動の双方をモニタリングする地球観測衛星として、今の時代に重要な情報を宇宙から取得し続けることになります。
【▲ 「いぶきGW」のAMSR3による初期観測結果を解説した動画(Credit: JAXA)】
文/ソラノサキ 編集/sorae編集部























