こちらは日本企業のスペースワン株式会社が2024年12月9日に公開した、同社の「カイロス(KAIROS)」ロケット2号機に搭載されるペイロード(搭載物)の画像です。
金色のサーマルブランケットに覆われているのはテラスペース株式会社の人工衛星「TATARA-1」で、上部には京都の醍醐寺塔頭菩提寺の依頼によるホステッドペイロードの宇宙寺院「劫蘊寺(ごううんじ)」が取り付けられているのがわかります。TATARA-1の下にある黒い箱状の物体は超小型衛星(CubeSat規格の3Uサイズ)を搭載・放出するための機構で、画像下部に写っているカイロスの液体推進系キックステージに合計4基取り付けられています。
カイロス2号機にはペイロードとしてTATARA-1の他に、合同会社Space Cubics(スペースキュービクス)の超小型衛星「SC-Sat1」、台湾国家宇宙センター(TASA)の超小型衛星「PARUS-T1A」、株式会社ラグラポが支援する広尾学園の高校生によるプロジェクトで製作された超小型衛星「ISHIKI」、その他1機の超小型衛星(未公開)が搭載されます。
カイロス2号機は和歌山県のスペースポート紀伊から日本時間2024年12月14日(土)の11時0分~11時20分頃の時間帯に打ち上げられる予定です(予備期間は2024年12月15日~2024年12月27日)。
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カイロスとは
カイロスはスペースワンが開発した全長約18m・3段式の固体燃料ロケットで、ペイロードの軌道投入制度を高めるための液体推進系キックステージを備えています。同社は契約から打ち上げまでの「世界最短」と打ち上げ頻度の「世界最高頻度」を目指すとしています。
カイロス初号機は内閣衛星情報センターの「短期打上型小型衛星」を搭載して2024年3月13日に打ち上げられましたが、発射約5秒後にロケットの自律飛行安全システムによる飛行中断措置が自律的に行われて射場直上で爆発し、衛星の軌道投入は達成されませんでした。
スペースワンによると、初号機が飛行中断に至ったのは推進薬の燃焼速度を予測するプロセスに問題があったためだとされています。飛行再開フライトにあたる2号機以降の打ち上げに向けた対策として、問題があった推進薬燃焼速度の予測プロセスの改善と、初号機では厳しめに設定されていた飛行正常範囲の設定見直しを講じたと同社は発表しています。
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Source
- スペースワン - 公式ウェブサイト
文・編集/sorae編集部
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