打ち上げられるアンガラA5ロケット(Credit: ロシア国防省)

日本時間2020年12月14日14時50分、ロシアの新型ロケット「アンガラA5」がプレセツク宇宙基地から打ち上げられました。ロシアの国営宇宙企業ロスコスモスによると、打ち上げから12分28秒後には人工衛星の質量を模したダミーペイロードとともに上段ステージ「ブリーズM」が分離され、打ち上げは成功しています。

アンガラは1960年代から現在まで改良を重ねつつ運用され続けている「プロトン」などの後継機として開発が進められてきたロケットです。第1段の「URM-1」の本数を変えたり第2段以降の構成を変えたりした複数のバリエーションが用意・計画されていて、今回打ち上げられたアンガラA5(URM-1を5基使用)よりも小規模な構成の「アンガラ1.2」(URM-1を1基使用)のように、さまざまな重量のペイロードに対応するロケットを製造することが可能となっています。

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▲アンガラA5打ち上げの様子(Credit: ロシア国防省TVチャンネル「ズヴェズダ」)▲

2014年7月にはアンガラロケット初の飛行試験として第1段に1基のURM-1を用いた「アンガラ1.2PP」による弾道飛行に成功。この打ち上げは本来ならアンガラA5などのより大きな構成で使われる「URM-2」を第2段に使ったやや特殊なものでした。2015年12月にはアンガラA5による最初の飛行試験が行われており、今回同様にダミーペイロードを載せたブリーズMの軌道投入に成功しています。

なお、現在運用中のプロトンで燃料および酸化剤として使われている非対称ジメチルヒドラジンと四酸化二窒素には着火や保存が容易というメリットがあるものの、どちらも毒性が強い物質です。いっぽう、アンガラでは第1段と第2段の燃料にケロシン、酸化剤に液体酸素が使われており、環境に対する安全性が向上するとロスコスモスはアピールしています。

ロシアはこれまでプロトンが担ってきた人工衛星や探査機などの打ち上げをアンガラに切り替えるとともに、現在開発中の新型有人宇宙船「オリョール」(旧称フィディラーツィヤ)の打ち上げにもアンガラを用いることを計画しています。

移動中のアンガラA5(Credit: ロシア国防省)

 

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Image Credit: ロシア国防省
Source: Roscosmos
文/松村武宏

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