十分なサンプルが得られたと判断。NASAが小惑星探査機オシリス・レックスの最新画像を公開
オシリス・レックスのサンプル採取装置「TAGSAM」の先端を写した連続画像。漂っているのは採取された粒子の一部とみられている(Credit: NASA)

NASAは10月24日、日本時間10月21日朝に小惑星ベンヌからのサンプル採取を実施した小惑星探査機「OSIRIS-REx(オシリス・レックス)」のサンプル採取装置を撮影した画像を公開しました。画像には採取装置の外に出て漂っているとみられる数多くの粒子が写っており、十分な量のサンプルが採取できたと判断されています。

画像はオシリス・レックスに搭載されているカメラのひとつ「SamCam」によって撮影されました。白いドーナツ型の部分はサンプル採取装置「TAGSAM(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism)」の先端で、サンプル採取時にはこの部分がベンヌの表面に接触し、噴射された窒素ガスによって外側に向けて吹き飛ばされた表面の物質を採取する仕組みになっています。

▲TAGSAMの展開、サンプルの採取、回収カプセルへの収納を再現した動画▲
(Credit: NASA/Goddard)

サンプルは内側に設けられたフラップ(蓋)の中に集められますが、発表によると大きな石によってフラップにすき間が生じ、小さな粒子の一部がそのすき間を通り抜けていることが考えられるようです。10月24日には採取されたサンプルの質量を測定するためにTAGSAMを伸ばして探査機を回転させる運用が行われる予定でしたが、サンプルの損失を防ぐために中止されています。

オシリス・レックスのミッションでは少なくとも60グラムのサンプルを持ち帰ることが計画されています。十分な量のサンプルが採取できなかったと判断された場合には2021年1月に2回目のサンプル採取が行われる予定でしたが、NASAによればこれまでのデータは60グラムを上回るサンプルが集められたことを示唆しているといいます。オシリス・レックスの運用チームは十分な量のサンプルが採取できたと判断しており、現在はサンプルを回収カプセルに収納する作業に集中しているとのことです。

オシリス・レックスは2021年3月にベンヌを出発し、2023年9月24日に地球へ帰還する予定です。

ベンヌの表面に向けて降下するオシリス・レックスを描いた想像図(Credit: NASA/Goddard/University of Arizona)

 

 

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Image Credit: NASA
Source: NASA
文/松村武宏