
(引用元:ESA/Hubble)
今回紹介するのは、ヘルクレス座の方向約21億光年先にある電波銀河「ヘルクレス座A(3C 348)」の多波長合成画像です。
画像の中央には黄みがかった楕円銀河が見え、その左右にピンク色の巨大な構造が広がっています。このピンク色の構造は、銀河中心の超大質量ブラックホール(超巨大ブラックホール)から噴き出したジェットと、それに伴って形成された巨大な電波ローブ(ジェットが周囲の空間に広がってつくるプラズマの巨大構造)です。

可視光では見えない巨大な電波ローブ
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3(WFC3)で取得された可視光データと、カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群(VLA)が観測した電波データを合成したものです。可視光(人の目で見える波長の光)だけでは、ヘルクレス座Aは一般的な楕円銀河にしか見えません。ところが電波データをピンク色の疑似カラーで重ねると、銀河の両側に左右あわせて約150万光年にわたって広がる巨大な電波ローブが姿を現します。可視光ではわからなかった巨大構造が、電波観測によって浮かび上がるのです。
ヘルクレス座Aの本体は非常に巨大な楕円銀河で、その中心には太陽の約25億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールがあると考えられています。これは天の川銀河中心のいて座A*(エースター)を大きく上回る規模です。ブラックホールの周囲に落ち込む物質から解放される莫大なエネルギーによって、光速に近い速度のプラズマがジェットとして放出され、巨大な電波ローブを形づくっているとみられています。
銀河から遠く離れるにつれて、ジェットは次第に不安定になり、リング状や繊維状の構造が見られるようになります。電波ローブの内部に見られるこうした複雑な形状は、中心核の活動が一定ではなく噴出と休止を繰り返してきた痕跡であり、ブラックホールの活動履歴を探る手がかりになると考えられています。
この画像はNASA/ESAから2012年11月29日付で公開されたものです。
編集/sorae編集部
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